新書嫁レビュー
「いざとなれば何とかなる」の中身を、私は何も知らなかった
2026-08-15
困ったときは何とかなる、と漠然と思っていた
お金がなくなったら、病気で働けなくなったら、独りで老後を迎えたら——そういう不安は誰にでもあります。でも私は、いざとなれば何かしらの制度が助けてくれるだろうと、その中身を一つも知らないまま漠然と構えていました。具体的に何を、どこに、どう申請すればいいのかは空白のまま。そうして「何とかなる」とだけ唱えていると、不安は消えるどころか、正体が見えないぶん夜にふと胸を締めつけてくるのです。その霧のような不安に、初めて具体的な輪郭を与えてくれたのが、雨宮処凛さんの『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』でした。
雨宮処凛著『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』はこちらから読めます。
「死なないための知識」は、誰も体系的に教えてくれない
本書が扱うのは、お金、仕事、親の介護、健康、トラブル、そして死後のことまで、生きていれば誰もが直面しうる場面です。著者はそれぞれの分野の専門家に取材を重ね、いざというときに頼れる制度や手続きを一冊にまとめています。読者の一人は、読む前は「何も分からない」状態だったのが、読後には「調べるべき方向性がなんとなく分かる」ようになったと書いています。別の読者は、独り身のまま亡くなった場合に遺産が遠い親戚に渡ってしまう問題に気づき、施設や団体への寄付という選択肢があると知れたことを一番の収穫として挙げています。お金が尽きたときに使える補助の申請先、親の介護で直面する手続き、病気になったときに頼れる仕組みまで、ふだん意識しない場面ごとに具体的な手がかりが置かれています。本書には、こうした「知っていれば慌てずに済む」キーワードがちりばめられています。自分の人生に直結する続きは、ぜひ本書で確かめてみてください。
不安の正体が見えると、夜の重さが変わった
この本を知ってから、将来への向き合い方が変わりました。以前は「もし働けなくなったら」と考えるたびに、答えのない問いがぐるぐる回って気が重くなるだけでした。今は、そのとき頼れる制度の名前や、相談に行くべき窓口の存在をぼんやりとでも知っているので、不安が無限の闇ではなく「調べれば手がかりのある課題」に変わりました。たとえば家計が苦しくなったときに駆け込める先がある、と頭の片隅に置けるだけで、漠然とした恐怖は具体的な行動の手前まで縮まります。読者の一人が「困ったらこの本を棚から引っ張り出せばいい、お守りのような本」と表現していましたが、まさにその感覚です。健康診断の数値に一喜一憂していた頃と違い、今は「もし何かあっても調べる場所は分かっている」と思えるだけで、検査結果を待つ時間の重さがずいぶん軽くなりました。何も知らないまま身構えていた頃に比べ、肩の力が抜け、目の前の暮らしに集中できるようになりました。
知らないままだと、いざというとき立ち尽くす
この本に出会わなければ、私はこれからも「何とかなる」という根拠のない呪文だけを頼りに、いざというとき立ち尽くしていたはずです。著者の雨宮処凛さんは、貧困問題に長く取り組んできた作家で、生活に困窮する人々の現場を間近で見続けてきました。だからこそ本書には、机上の制度解説にとどまらない、現実に追い詰められた人の側に立った視点があります。自分も「いざとなれば」の中身を知らないまま生きていないか——そう胸に手を当てたくなる方にこそ、備えとして開いてほしい一冊です。
雨宮処凛著『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』はこちらから読めます。
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内容紹介
「働けなくなったら」「お金が無くなったら」「親の介護が必要になったら」……。「これから先」を考えると押し寄せる不安。頼る人がいなければ、最悪しぬしかないのか?そして自らの死後、大切なペットは?スマホやサブスクの解約は?この先が不安で仕方ないアラフィフが各界の専門家に取材。社会保障を使いこなすコツや各種困りごとの相談先など、人生の荒波の中で「死なない」ための無敵のサバイバル術を一冊に。
出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。
書誌情報
- 書名
- 死なないノウハウ~独り身の「金欠」から「散骨」まで~ (光文社新書)
- 著者
- 雨宮 処凛
- レーベル
- 光文社新書
- 出版社
- 光文社
- 発売日
- 2024年2月15日
- ISBN
- 9784334102265