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新書とは何か

新書はジャンルの名前だと思われがちですが、実際には本の大きさの呼び名です。この一点を知っているだけで、書店の棚の見え方が変わります。

中身ではなく、大きさの話

新書判とは縦173ミリ、横105ミリの判型を指します。文庫判が縦148ミリ、横105ミリなので、横幅は同じで縦だけが2.5センチほど長い、あの細長い形です。つまり「新書」と呼ばれている時点で決まっているのは寸法だけで、内容については何も決まっていません。

硬い学術入門も、軽い実用書も、小説でさえ、この判型で出れば書誌データの上では等しく新書に分類されます。書店で新書の棚を眺めたときに内容の振れ幅が大きく感じるのは、棚が中身ではなくサイズで仕切られているからです。

文庫とは役割が違う

文庫はもともと、すでに世に出た本を安く手に取れる形で出し直すための器として広まりました。対して新書は、書き下ろしで新しく世に問うための器として始まっています。同じ小型の本でも、文庫が過去を引き継ぐ側、新書がいま書かれる側という違いがあります。

いまはどちらの境界も緩んでいて、文庫オリジナルの書き下ろしも珍しくありません。それでも、その月に何が新しく出たかを追いかける意味があるのは新書のほうです。このサイトが新書を対象にしているのはそのためです。

1938年に始まった

日本の新書は1938年11月、岩波書店が岩波新書を創刊したところから始まります。イギリスで起きていた小型叢書のブームを手本にしたもので、これが新書という出版形態そのものの出発点になりました。

以来、各社が自社の新書レーベルを立ち上げ、それぞれに性格の違いが生まれていきました。同じ新書判でも、どのレーベルから出たかで書かれ方も想定読者もかなり変わります。レーベルごとの成り立ちはレーベル一覧にまとめています。

いまの新書は一枚岩ではない

現在の新書は、大きく三つの方向に分かれています。ひとつは専門家が自分の研究領域を一般向けに書き下ろす教養系。ひとつは時事の解説や仕事術など、いま知りたいことに答える実用系。そしてもうひとつが、新書判で出るエンターテインメント小説です。

当サイトが標準で表示しているのは前の二つで、小説やライトノベルは初期表示から外れます。ただし外しているだけで消してはいないので、一覧の「全件」に切り替えればすべて出てきます。

最初の一冊の選び方

知らない分野に入るときほど、新書は効きます。その分野の研究者が、前提知識のない相手に向けて200ページ前後で説明し切るという制約を引き受けて書いているからです。同じ内容を専門書で読もうとすると、まず用語で止まります。

選ぶときは、著者がその分野で何をしてきた人かを先に見てください。新書は薄いぶん、書き手の視点がそのまま本の質になります。同じ著者が何冊も新書を書いていることも多いので、一冊読んで相性が良ければその著者を辿るのが早道です。

今月は何が出るのか

新書はひと月に150冊前後刊行されます。そのうち話題になるのはごく一部で、残りは出たことすら知られないまま棚から消えていきます。今月の刊行カレンダーでは、売れ行きと関係なく発売日順に全部並べています。