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だれが信長を殺したのか 本能寺の変・新たな視点 (PHP新書)

桐野 作人

PHP新書 / PHP研究所

2007年3月1日発売

楽天ブックスAmazon

新書嫁レビュー

本能寺の変、主役は光秀ではなかった――引き金を引かせた「もう一人の男」

2026-07-24

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本能寺の変は、光秀の野心が起こしたものだと思っていた

本能寺の変といえば、明智光秀が天下を狙い、主君・織田信長に反旗をひるがえした――そう習い、長らくそう信じてきました。光秀の野心か、あるいは積年の恨みか。動機をめぐる議論は数あれど、結局は光秀という一人の人物の決断だったのだろう、と。けれど歴史の本を読むたび、どこか釈然としないものが残ります。あれほど慎重な光秀が、なぜあのとき急に決起したのか。その引っかかりに、歴史研究家の桐野作人さんの一冊が、新たな角度から光を当ててくれました。主役は本当に光秀だったのか、という問い直しから始まる本です。

桐野作人さん著『だれが信長を殺したのか 本能寺の変・新たな視点』はこちらから読めます。

光秀の背中を押した、斎藤利三という存在

本書が描くのは、決起をためらい続けた光秀と、その背後にいた家臣・斎藤利三の姿です。本書では、足利将軍や朝廷、宣教師らをめぐる従来の黒幕説をていねいに検討したうえで、光秀をついに謀反へと踏み出させた鍵として斎藤利三に光を当てる、という視点が提示されます。背景にあるのは、四国の長宗我部氏をめぐる政治の急変でした。信長が下した四国の方針転換が、利三にとって看過できない事態を生み、それが光秀を追い詰めていく――その複雑な人間関係の絡まりが、史料をもとに解きほぐされていきます。読者レビューでも、平成二十六年に公開された「石谷家文書」に触れ、斎藤利三と長宗我部元親をつなぐ書状の重要性を指摘する声がありました。天正八年の信長と光秀の関係、決裂の予兆、そして謀反が実行に移されるまでの数日間が、章を追うごとに緊張感をもって描かれていきます。本書にはさらに、信長自身の誤算や、変の本質をどう捉えるかについても踏み込んだ議論が展開されます。その続きは、ぜひ本書で確かめてみてください。

歴史上の事件を「群像」として見られるようになった

この本を読む前の私は、歴史上の大事件を「誰が主役か」という一人の視点でしか追えていませんでした。読み終えた今は、一つの決断の裏に、どれだけの人間関係や利害が折り重なっているかを想像しながら歴史を読むようになっています。たとえば大河ドラマで合戦の場面を観るとき、以前なら主人公の心情だけを追っていたところを、いまは「この決断を後ろで支えた、あるいは追い詰めた人物は誰だろう」と脇に立つ人々に目が向くようになりました。歴史の教科書で太字になっていた人物の影に、名前すら覚えていなかった家臣たちの切実な事情があったと知るたびに、過去の出来事がぐっと立体的に感じられるようになりました。歴史が一本の英雄譚ではなく、無数の思惑が交差する群像劇として立ち上がってきたのです。

知らないままだと、教科書の一行で分かった気になっていた

この本を読まなければ、私は「光秀の謀反」という教科書の一行だけで、本能寺の変を分かった気になっていたはずです。著者の桐野作人さんは、戦国史、とりわけ薩摩島津氏の研究を専門とする歴史研究家で、『真説 本能寺』『本能寺の変の首謀者はだれか』など実証的な著作を重ねてきました。在野の研究者でありながら、その緻密な史料読解は歴史学界でも評価されています。確かな史料の裏付けをもって通説に揺さぶりをかける著者だからこそ、見慣れた事件の奥行きを味わわせてくれます。歴史の「分かったつもり」を心地よく崩されたい人に届く一冊です。

桐野作人さん著『だれが信長を殺したのか 本能寺の変・新たな視点』はこちらから読めます。

内容紹介

「ときは今天が下しる五月哉」。三日前にそう詠んだ光秀だが、いまだこのとき、謀叛を決断していなかったことが新発見の書状で明らかになった。そんな光秀を追いつめた張本人はいったいだれ!?足利将軍か、朝廷か、はたまたバテレンか。黒幕説飛び交うその裏で、一人の男の影が浮上した。斎藤利三。他家を出奔し明智家家老にまでなった勇者には、信長を許せない複雑な事情があった。長宗我部元親、三好康長、羽柴秀吉、織田信孝。四国情勢をめぐって濃密に絡み合う人間関係に、翻弄される光秀、そして信長の誤算とは。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
だれが信長を殺したのか 本能寺の変・新たな視点 (PHP新書)
著者
桐野 作人
レーベル
PHP新書
出版社
PHP研究所
発売日
2007年3月1日
ISBN
9784569690735