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校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣 (中公新書ラクレ 812)

工藤 勇一

中公新書ラクレ / 中央公論新社

2024年2月9日発売

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新書嫁レビュー

校長が変われば学校が変わる——その当たり前に、なぜ誰も気づかなかったのか

2026-05-21

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学校が変わらないのは、先生や制度のせいだと思っていた

学校教育の問題を語るとき、多くの人は「先生の質」「文部科学省の方針」「教育委員会の硬直した制度」に原因を求めます。自分もそうでした。一人の先生が熱意を持って動いても、学校という組織全体が変わるはずがない——そういう諦めが当然の感覚として染み付いていました。宿題廃止や定期テスト廃止のニュースを見ても、「特別な学校の話だろう」「すぐ元に戻るのだろう」と思っていました。

でもこの本を読んで、そのすべての諦めに「根拠がなかった」とわかりました。学校を変える最大の鍵は、校長という一人のポジションにあったのです。変わらないのは制度のせいではなく、変える立場にいる人間が何を優先しているかの問題だった——そのことを、著者は具体的な数字と実例で見せてくれます。

工藤勇一著『校長の力』はこちらから読めます。

宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止、それを可能にした思考の構造

著者の工藤勇一は、2014年に千代田区立麹町中学校の校長に就任した後、宿題の廃止、定期テストの廃止、固定担任制の廃止という、従来の学校常識を根底から覆す改革を次々と実行しました。そして2020年からは横浜創英中学・高等学校の校長に就任し、わずか4年間で中学部の定員を当初の2学級から5学級まで拡大させるほどの変革を起こしています。高等学校では第1志望者の割合が就任前の約20パーセントから約90パーセントへと増加したという事実が、改革の実質的な成果を示しています。

本書が明かすのは「何を変えたか」ではなく、「なぜそれができたか」です。著者が一貫して語るのは「最上位目標に立ち返る」という思考の原則です。宿題が本当に子どもの学びに役立っているか、定期テストが何のために存在しているのか——その問いに正直に向き合い、役割を果たしていないと判断したら廃止する。読者レビューに「生徒一人が主体性を持ち自律することができる」という言葉への共感が多く見られるように、著者の改革は感情論ではなく、最上位の目標から逆算した論理によって支えられています。本書にはさらに教育委員会や保護者との関係構築、言葉の力で価値観を揺るがす方法についても詳しく書かれています。ぜひ本書で確かめてみてください。

「諦め」が問題を固定している、という発見

この本を読む前、自分にとって「学校が変わらない」という状況は、解決できない構造的な問題でした。でも読み終えてから、その感覚が変わりました。変わらないのは制度のせいではなく、「変える立場にいる人が変えようとしていない」という現実がある。そしてその「変える立場にいる人」が本気で動けば、驚くほど変わる——そのことを、著者は実証済みのデータで示してくれます。

子どもを持つ親として、あるいは学校教育に関わる立場として読むと、「自分に何ができるか」という問いが自然に湧いてきます。制度の外から不満を言い続けることと、制度の内側で原則に忠実に動くことの、どちらが力を持つのか。読んで初めて、その答えが具体的に見えてきました。教育に関わる人だけでなく、組織を動かそうとしているすべての人に通じる問いが、この本には詰まっています。

経歴が示す、この人物の言葉の重さ

工藤勇一は1960年生まれ。東京理科大学を卒業後、数学教師として教壇に立ち、その後は教育委員会、指導課長と行政側のキャリアも経験しています。内閣府規制改革推進会議の専門員も務めており、教える現場と制度を動かす側の両方を熟知した人物だからこそ、「なぜ学校は変わらないのか」という問いへの答えが、説得力を持ちます。

この本を読まなければ、学校改革への諦めを「現実的な判断」と勘違いしたままでいたと思います。

工藤勇一著『校長の力』はこちらから読めます。

内容紹介

「壇上のエラい人」は日頃、どんな仕事をしているのか? どういうステップを踏んで管理職になるのか? 実績を上げる校長は、どこが凄いのか? PTA、教育委員会、議会との関係は?--現職校長が知っているようで実は知らない実態を明らかに。著者は『学校の「当たり前」をやめた。』で反響を呼んだ麹町中学校・前校長。現在、校長を務める横浜創英中学・高校の改革も適宜紹介。その気になれば、校長はここまでできる! 全教員必携の経営論・人材育成論にして、保護者向け永久保存版テキスト。

まえがきーー実は大きい!「校長の力」

1章 生徒と教師が自律するマネジメント

2章 つねに最上位目標に立ち返る

3章 校長になるプロセス、なってからの権限は?

4章 教育委員会、議会の知識はなぜ役立つのか?

5章 保護者やPTAとどう付き合うか?

6章 言葉の力ーーいかに価値観を揺るがすか

7章 民主主義の学校ー対立を恐れない心をどう作るか?

あとがきに代えてーー横浜創英が進める「学びの大転換」

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣 (中公新書ラクレ 812)
著者
工藤 勇一
レーベル
中公新書ラクレ
出版社
中央公論新社
発売日
2024年2月9日
ISBN
4121508122