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世界演劇史 (文庫クセジュ 158)

ロベール ピニャール岩瀬 孝

文庫クセジュ / 白水社

1991年9月1日発売

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新書嫁レビュー

演劇の歴史は、人間が「語り合ってきた歴史」そのものだった

2026-06-27

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演劇は「舞台芸術」の話で、歴史は芸能の記録だと思っていた

演劇の歴史というと、有名な劇作家の名前と代表作、劇場の変遷、演技スタイルの変化といった「芸能の記録」の話だと思っていました。シェイクスピア、チェーホフ、イプセン——こういった名前が並ぶ専門的な分野であって、一般の読者にとってはやや縁遠いものだという感覚がありました。

でもこの本を読んで、世界演劇の歴史は単なる芸能の記録ではなく、人間が社会・政治・宗教・倫理の問いを「演劇」という形で語り合ってきた歴史そのものだということがわかりました。演劇とは、時代が抱えた問いを表現する場だったのです。

この本が、演劇と人類の歴史への見方を変えてくれました。

ロベール・ピニャール著/岩瀬孝訳『世界演劇史』はこちらから読めます。

古代ギリシャから現代まで——演劇が映してきた時代の問い

本書は、フランスの演劇研究者ロベール・ピニャールが著した演劇の通史を、岩瀬孝が日本語に翻訳した文庫クセジュの一冊です。フランスの百科全書的知識シリーズとして知られる文庫クセジュらしく、コンパクトな形で西洋演劇史の全体像を提示しています。

古代ギリシャの演劇は、単なる娯楽ではなく宗教的儀式と社会の倫理的議論の場でした。アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの悲劇は、運命・正義・人間の尊厳という問いを、観客全員が共に考える場として機能していたのです。劇場は、政治的な議論の場でもありました。

中世ヨーロッパでは演劇がキリスト教の布教の手段となり、ルネサンス期にシェイクスピアが登場することで世俗的な人間ドラマが前面に出てきます。近代・現代と進むにつれて、演劇はより実験的・社会批判的な形を取り始めます。各時代の演劇形式の変化は、そのまま社会と人間観の変化を映しています。たとえば、19世紀ヨーロッパで「リアリズム演劇」が台頭したのは、産業革命後の社会が生み出した新しい問い——労働者の権利、女性の地位、家族の崩壊——を舞台に載せる必要があったからです。演劇は時代の鏡であり、その形式の変化を追うことで、人類が何を問い続けてきたかが見えてきます。本書にはさらに、各時代を代表する劇作家と代表作の関係、東洋演劇との比較についても詳しく解説されています。ぜひ本書で確かめてみてください。

演劇を知ることが、人間の歴史を知ることになった

この本を読んでから、舞台作品を見るときに「この作品はどんな時代の問いを表現しているのか」という問いを持つようになりました。

演劇は時代の鏡です。人々が抱えていた恐れ・希望・怒り・問いが、舞台という形で凝縮されています。演劇史を知ることは、人類が何を考え、何を語り合ってきたかを知ることになるという発見が、この本からありました。「芸能の歴史」ではなく「人類の対話の歴史」として演劇を見る目が、この本で生まれます。

フランスの演劇研究者が描いた「人類と演劇の歴史」

フランスを代表する演劇研究者ロベール・ピニャールが著した世界演劇の通史です。文庫クセジュとして、コンパクトながら西洋演劇史の全体像を的確に捉えた内容は、演劇初心者にも親しみやすいものになっています。

この本を読まなければ、演劇を「芸能の世界」の専門的な話として見たまま、その中に人類の歴史と思想が凝縮されているという豊かな側面を知らずにいたと思います。

ロベール・ピニャール著/岩瀬孝訳『世界演劇史』はこちらから読めます。

書誌情報

書名
世界演劇史 (文庫クセジュ 158)
著者
ロベール ピニャール / 岩瀬 孝
レーベル
文庫クセジュ
出版社
白水社
発売日
1991年9月1日
ISBN
4560051585