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クリエイティブ喧嘩術 (NHK出版新書)

大友 啓史

NHK出版新書 / NHK出版

2013年5月1日発売

楽天ブックスAmazon

新書嫁レビュー

「いい仕事は、波風を立てずに進める」——その美徳を、この本は真っ向から否定する

2026-06-05

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摩擦を起こさず、まわりに合わせるのが「大人の仕事」だと思っていた

会議で違和感を覚えても、空気を読んで飲み込む。自分の意見を通すより、波風を立てずに進めるほうが大人の仕事だ——私はずっとそう信じてきました。けれど、角を立てないことを優先するほど、出来上がったものはどこか自分の手触りを失い、「これは本当に自分がつくったものなのか」という空虚さがあとに残ります。その正体不明のもやもやの理由を、この本は名指ししてくれました。

大友啓史著『クリエイティブ喧嘩術』はこちらから読めます。

「上手なラブレターの書き方を覚えなさい」という助言

本書で印象に残るのが、著者がNHK時代に先輩から受けたという「愛している人に、そのまま愛していると言っても伝わらない。まずは上手なラブレターの書き方を覚えなさい」という助言です。「これは違う」「自分ならこうする」という熱い思いがあっても、それを言語化し、相手に届く形に翻訳する技術がなければ、ただの独りよがりで終わってしまう。本書が言う「喧嘩」とは、感情をぶつけることではなく、妥協せずに意見をたたかわせ、その上で他者に任せていく営みなのです。一人でできることには限界がある。大きなものをつくるには人の力を引き出すしかなく、そのために避けられないのが、この建設的な「喧嘩」だというわけです。本書では大河ドラマ『龍馬伝』や『ハゲタカ』の制作現場、留学先のハリウッドで学んだ仕事の流儀をたどりながら、著者が実際にどう人を動かし、どう摩擦と向き合ってきたかが具体的なエピソードとともに語られます。「脱藩のススメ」「仮想敵をつくり喧嘩を売れ」といった挑発的な章タイトルが並び、その一つひとつで真意がさらに踏み込んで明かされていきます。続きはぜひ本書で確かめてみてください。

会議で「それは違う」と言えるようになった

この考え方に触れる前、私は会議で違和感を覚えても、波風を恐れて黙っていました。そして帰り道に「あのとき言えばよかった」と何度も反芻し、自分の臆病さに落ち込む。その繰り返しでした。決まった企画に内心では納得していないのに、表向きはうなずいている自分が、いちばん嫌だったのです。けれど「喧嘩とは相手に届く言葉に翻訳する作業だ」と捉え直してからは、反対意見をぶつける前に「どう言えば角を立てずに伝わるか」を一呼吸おいて考えるようになりました。先日も企画会議で違和感を口にできたのですが、ただ否定するのではなく「その方向は分かります。ただ、ここをこう変えるともっと届くと思います」と代案を添えたことで、場が険悪になるどころか議論が前に進んだのです。黙って後悔する側から、言葉を選んでたたかい、前に進める側へ。仕事との距離の取り方が、確かに変わりました。

黙って合わせ続けていたら、自分の仕事を持てなかった

この本を読まなければ、私はこれからも摩擦を避けて自分の意見を飲み込み、誰のものでもない仕事を量産していたはずです。著者の大友啓史は、NHK史上最年少で大河ドラマ『龍馬伝』のチーフ演出を務め、独立後は『るろうに剣心』で国内興行収入三十億円を記録した映画監督です。長回しや徹底したリアリティの追求で大河ドラマのイメージを一新したことでも知られます。生き馬の目を抜くエンターテインメントの現場で勝ち続けてきた人が、自らの格闘を率直に明かしているからこそ、「喧嘩」という強い言葉に重みと説得力が宿ります。読み終えるころには、その言葉が乱暴なものではなく、ものづくりに真摯であろうとする覚悟の表現だと分かるはずです。

大友啓史著『クリエイティブ喧嘩術』はこちらから読めます。

内容紹介

NHK大河ドラマ『龍馬伝』で史上最年少の演出チーフを務め、独立後は映画『るろうに剣心』『プラチナデータ』などヒット作を手掛けるカリスマ演出家による常識破りの仕事術とは!?生き馬の目を抜くエンターテインメントの世界で勝ち続けるためにはどうすればよいのか。舞台裏のやり取りとともに、仕事の極意とヒットの秘密を臨場感たっぷりに記す。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
クリエイティブ喧嘩術 (NHK出版新書)
著者
大友 啓史
レーベル
NHK出版新書
出版社
NHK出版
発売日
2013年5月1日
ISBN
4140884088