新書嫁レビュー
国道なのに通れない道がある——20年廃道を探検した男が描く道路法の世界
2026-08-13
「道路は車や人が通行するための舗装された地面であり、それ以上の特別な意味も区別もない」とずっと思っていた
日常で道路といえば、「広いか狭いか」「混んでいるか空いているか」程度の区別しかしていませんでした。国道・県道・市道・林道——区分の名前は知っていても、それぞれにどんな違いがあるのか、なぜ「酷道」と呼ばれる劣悪な国道が存在するのか、なぜ海の上を通る国道があるのか——そういう細部を気にする機会はないままでした。道路は当たり前すぎて、気にする対象にならなかったのです。
でも、ドライブ中に「これは本当に国道?」と思う細い道に出会ったり、山中で「林道」と書かれた看板を見たりしたとき、「道路の分類には何らかのルールがあるはずだ」という小さな疑問は残っていました。
平沼義之著『日本の道路122万キロ大研究』を読んで、その疑問への答えがどこまでも深く広がっていることを知りました。
平沼義之著『日本の道路122万キロ大研究』はこちらから読めます。
国道番号には法則があり、海を渡る国道や通れない廃道まで、すべて法と歴史に基づいて存在している
著者が本書で示す核心は、日本の道路総延長122万キロが「ただの通行路の集合」ではなく、道路法をはじめとする法体系と、それぞれの土地の歴史的事情によって、緻密に分類・整備された巨大な体系だという事実です。著者は「法という観点から道路のふしぎを解き明かす」という独自の切り口で、私たちが日常で素通りしている道路の謎を一つひとつ解いていきます。
特に印象的なのは、国道番号の法則性です。1号から番号が増えるごとに何が起きているか、二桁国道と三桁国道で何が違うか——番号には法的な意味と歴史的な経緯が刻まれています。また「海上国道」——フェリーや船舶でしかつながらないのに国道として指定されている区間が存在することや、「酷道」——国道なのに乗用車が通れないほど劣悪な道があることなど、「国道」という単一カテゴリーの内側に潜む驚くべき多様性が明かされます。さらに「林道」「農道」「廃道」など、行政区分ごとの道路の特徴と、廃道探検家(オブローダー)として20年以上活動してきた著者ならではの「もう通れない道」への眼差しも興味深いポイントです。本書にはさらに、県道の種類・特殊用途道路・道路標識の謎が詳しく描かれています。ぜひ本書でその全貌を確かめてみてください。
日常で通る道路が、突然「謎を抱えた存在」として見え始めた
読む前と後で、道路への向き合い方が変わりました。以前は道路を「通行用の地面」としか見ていませんでした。でも今は、「この国道はなぜこの番号なのか」「なぜ右だけ歩道がないのか」「あの林道はどこの管轄なのか」——道路を見るたびに小さな疑問と発見が連鎖するようになりました。
具体的には、地図アプリで経路を見るとき、ルートに含まれる道路の「種別」が目に入るようになりました。県外を旅行するとき、その地域固有の道路事情——たとえば旧街道がどう国道に取り込まれたか、明治期の改修跡がどう残っているか——を観察するのが楽しくなりました。何気ない通行が、土地の歴史と法体系を通り抜ける営みに変わった感覚があります。
廃道探検家・20年活動の WEB サイト『山さ行がねが』運営者が、122万キロの全貌を体系化した
平沼義之(1977年千葉県松戸市生まれ)は廃道探検家(オブローダー)として2000年からWEBサイト『山さ行がねが』を運営し、20年以上にわたって日本各地の廃道・酷道・特殊道路を実地調査してきた著者です。法律の条文に基づく分類体系と、現場の踏査による具体例が結びついた本書は、道路マニアでなくとも日常の風景を変える一冊として位置づけられています。
この本を読まなければ、道路を「ただの通行路」として通り過ぎたまま、122万キロの道路網に潜む法と工夫の秘密と向き合う機会を持てないままでいたでしょう。
平沼義之著『日本の道路122万キロ大研究』はこちらから読めます。
※本記事にはアフィリエイトリンク(PR)が含まれます。
内容紹介
「酷道」と揶揄される国道!?
国道は何号まであるの? 首都高は国道じゃない? 「農免農道」ってなに?
クルマを運転していると次々に浮かぶ道路への疑問。
そこに潜む複雑怪奇な道路の定義をまるごと把握できて、
クルマやバイクでの旅が楽しくなる本!
出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。
書誌情報
- 書名
- 日本の道路122万キロ大研究 増補改訂版 (じっぴコンパクト新書)
- 著者
- 平沼 義之
- レーベル
- じっぴコンパクト新書
- 出版社
- 実業之日本社
- 発売日
- 2021年12月2日
- ISBN
- 9784408339924