新書嫁レビュー
「自衛隊は防衛のみ」という思い込みが、現実の国防から目を背けさせていた
2026-08-06
日本の安全保障は「専門家に任せておけばいい問題」だと思っていた
日本の国防や安全保障は、政治家や自衛隊・外務省の専門家が考える問題であって、一般の国民が深く知る必要はない——そんな思い込みを持っていました。「平和国家・日本」という枠組みの中で、安全保障の具体的な現実を知ろうとする動機があまりなかったのです。
しかし国際情勢が急速に変化する中で、「専門家任せ」という姿勢が実は思考停止であることが、この本を読んで明確になりました。自衛隊の最高幹部が「令和の国防」について率直に語った言葉は、私たちが普段目にしない現実を正面から語りかけてきます。
この本が、国防への見方を変えてくれました。
岩田清文・武居智久・尾上定正著『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』はこちらから読めます。
自衛隊の「本音」が語られた一冊
本書は、陸上自衛隊元幕僚長・岩田清文、海上自衛隊元幕僚長・武居智久、航空自衛隊元幕僚長・尾上定正という、陸海空それぞれの自衛隊トップを務めた人物が共著で、令和の安全保障環境と日本の国防の実態を語った一冊です。新潮新書として、専門的な内容を一般読者にも理解しやすい形で伝えています。
三氏が語るのは、中国の急速な軍備拡張、北朝鮮の弾道ミサイル能力、ロシアの軍事行動が日本の安全保障環境をどのように変えているかです。これらの脅威は漠然としたものではなく、自衛隊の現場では毎日のように向き合っている具体的な現実として語られます。
「専守防衛」という日本の原則が現実の脅威に対して何を意味するか、抑止力とはいかなるものかについての本音の議論は、教科書的な「平和国家・日本」の記述を超えた、生々しいリアリティを持っています。本書にはさらに、日米同盟の実態と日本単独での防衛の限界、そして自衛隊が求める予算・装備・人員の現状についても率直に述べられています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「知らないでいること」が最も危うい
この本を読んでから、安全保障への「専門家任せ」という態度を見直すようになりました。国防の問題は、民主主義国家においては市民が関心を持ち、選挙や議論を通じて判断に参加するべき問題です。「自分には関係ない」という距離感が、むしろ危うい思い込みだったのだということが実感できました。
難しいテーマを「知ろうとすること」が、国家と社会への参加の基本なのだという感覚が、読後に残ります。国防を他人事にしないという姿勢は、民主主義のコストでもあります。それを厭わない市民が増えることが、この国の安全保障の土台にもなるのだと気づかされました。「知ることが最初の防衛」だという言葉の意味が、読後に深く響きました。
陸海空自衛隊元幕僚長が語る「令和の国防の実態」
陸・海・空それぞれの自衛隊のトップを歴任した三人が、公式の立場を離れて率直に語った国防論です。この三人が同じ本で語ることの重みと、その内容の具体性は、他の安全保障書籍とは一線を画します。
この本を読まなければ、安全保障を「専門家任せ」にしたまま、日本が直面する現実の脅威と向き合う機会を逃していたと思います。現実の国防を直接語った人たちの言葉は、あいまいな安心感を超えた確かな思考の出発点を与えてくれます。令和という時代に、日本の安全保障をどう考えるべきかという問いに、自分なりに向き合うきっかけをこの本が与えてくれました。
岩田清文・武居智久・尾上定正著『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』はこちらから読めます。
内容紹介
現状変更を続ける中国を封じ込めよ! 台湾有事は現実の懸念であり、尖閣や沖縄も戦場になるかも知れないーー。陸海空の自衛隊から「平成の名将」が集結、軍人の常識で語り尽くした「今そこにある危機」。
出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。
書誌情報
- 書名
- 自衛隊最高幹部が語る令和の国防(新潮新書)
- 著者
- 岩田清文 / 武居智久 / 尾上定正
- レーベル
- 新潮新書
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2021年4月19日
- ISBN
- 9784106109010