新書嫁レビュー
大人になってから、急に食べられなくなる——その理由を私は知らなかった
2026-06-07
食物アレルギーは子どもの問題だと思い込んでいた
食物アレルギーと聞くと、卵や牛乳に気をつける小さな子どもの話だと、ずっと思っていました。自分はこれまで何でも食べてこられたのだから、もう一生関係ない世界だと信じて疑いませんでした。けれど、その思い込みのまま暮らしていると、外食で急に体調を崩した知人の話や、ある日突然エビが食べられなくなったという話を耳にするたびに、なぜか落ち着かない気持ちになっていました。自分の体のことなのに、何が起きているのか説明できない。その曖昧な不安が、ずっと胸の奥に残っていたのです。松延正之さんの『知らないと怖い食物アレルギー』を読んで、その正体がはっきり見えました。
松延正之著『知らないと怖い食物アレルギー』はこちらから読めます。
アレルギーは、体を守るための仕組みが暴走した結果だった
本書がまず教えてくれるのは、アレルギー反応とは、本来は異物から人間の体を守るための防御システムなのだという事実です。体が「これは異物だ」と判断すると抗体を作り、次に同じものが入ってきたときに攻撃する。その仕組みが、本来なら無害なはずの食べ物に対しても過剰に働いてしまう。これが食物アレルギーの正体だと、本書は分かりやすく解き明かします。さらに驚いたのは、大人になってから突然発症するケースの存在です。子どもの頃に問題なく食べていたものが、ある日を境に体を攻撃し始める。本書には、農薬や化学肥料といった環境要因とアレルギーの関係についても踏み込んだ記述があり、市販のいちごやマンゴーでは反応が出る人が、無農薬のものなら問題なく食べられた、という具体的な事例も紹介されています。同じ食べ物なのに、育てられ方ひとつで体の反応が変わる。これは私にとって大きな驚きでした。アレルギーは単に「その食材が悪い」という単純な話ではなく、私たちを取り巻く環境そのものと深くつながっているのだと、本書は静かに教えてくれます。自然に近い食材を選ぶこと、家庭で手をかけて調理すること。そうした日々の選択がどう体を守ることにつながるのか、読者を守るための予防の知恵が、本書ではさらに具体的に展開されます。ぜひ本書で確かめてみてください。
「食べる」という日常が、急に大切に見えてくる
この本を読んでから、食卓の風景が少し変わりました。以前は、目の前の料理をただ無意識に口に運んでいました。けれど今は、自分の体がこの食べ物をどう受け止めているのか、ほんの少し意識を向けるようになりました。家族が新しい食材を試すとき、外食で見慣れないメニューを頼むとき、これまで何も考えずに通り過ぎていた瞬間に、体と食べ物の対話があるのだと気づくようになったのです。怖がるためではなく、自分と家族の体を守るために知っておく。その視点を持てたことで、毎日の食事がより落ち着いた、地に足のついたものになりました。
知らないままでいたら、いざというとき動けなかった
もしこの本に出会わなければ、私は食物アレルギーを最後まで他人事のまま放置していたはずです。そして本当に身近で何かが起きたとき、何もできずにただ慌てていたでしょう。本書は、専門的な知識を一般の読者にも届く言葉で噛み砕いてくれます。仕組みを理解しているかどうかで、いざというときの落ち着きはまるで違う。自分も家族も、いつ当事者になるか分からない。そう感じた方にこそ、この一冊は静かに効いてきます。
松延正之著『知らないと怖い食物アレルギー』はこちらから読めます。
内容紹介
いまや日本人の三人に一人が、何かしらのアレルギー疾患をもつといわれる。とりわけ、日常の、ごくふつうの食べ物に過敏に反応する「食物アレルギー」は、いったいどうして起こるのか。もしも発症したら、どう対処・治療すればいいのか…。いま、日本人に激増しているこの“国民病”を易しく解説。
出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。
書誌情報
- 書名
- 知らないと怖い食物アレルギー: あなたにも潜むこの現代病から身を守る本 (KAWADE夢新書 198)
- 著者
- 松延 正之
- レーベル
- KAWADE夢新書
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2000年6月1日
- ISBN
- 4309501982