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星の古記録 (岩波新書 黄版 207)

斉藤 国治

岩波新書 黄版 / 岩波書店

1982年10月20日発売

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新書嫁レビュー

古代人は星を「神話の素材」としてしか見ていなかった

2026-05-03

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古代の天文記録は「神話や占い」のためのものだと思っていた

ずっと古代の人々が星を観察していたのは、農業の暦を作るためや、神話・占いに使うためだと思っていました。現代の天文学とは切り離された、宗教的・神話的な営みとして古代の天文が存在していた——そんな漠然としたイメージがありました。しかしそのイメージでは、古代文献に克明に記録された日食や彗星の記述が、現代の天文学的計算と驚くほど正確に一致するという事実が、どこかしっくりきませんでした。

その謎を解き明かしてくれたのが、斉藤国治著『星の古記録』でした。

斉藤国治著『星の古記録』はこちらから読めます。

平安時代の記録が、現代の天文計算で「証明」された

本書で著者・斉藤国治が行ったのは、東西の古典文献に記された日食・星食・流星・彗星・超新星の記録を、現代の天文学的計算で一つ一つ検証するという作業です。藤原定家の『明月記』に記録された「客星(きゃくせい)」の記述——これは現在のかに星雲の起源となった超新星爆発に対応することが、斉藤の計算によって確認されています。1054年に爆発した超新星が、平安時代の公卿によって正確に記録されていたのです。

本書はさらに、ハレー彗星の歴史的記録、古代中国の「シリウスは赤かった」という記述が現代の星の進化論と合致するかという問いなど、古記録と現代天文学が交差する驚くべき場面を次々と描きます。ぜひ本書で確かめてみてください。

「古い記録」が「現代の知識」と響き合う体験

この本を読んでから、古典文学や歴史文書を読むとき、そこに記された「異常な天文現象」の記述への関心が高まりました。以前は「不思議な星が現れた」という記述を、迷信や誇張として流し読みしていましたが、今は「これは現代の計算で確認できるのかもしれない」という視点で読むようになりました。歴史と科学が意外な形でつながる喜びを、日常の読書の中で感じられるようになりました。

「古天文学」という新しい学問を作った研究者

斉藤国治は東京大学東京天文台教授を定年退官後、古代の天文記録を現代の天文学で検証する「古天文学」という分野を日本で切り開いた研究者です。「古代人は星を神話の素材としてしか見ていなかった」という思い込みを持ったまま生きていたら、千年前の記録が現代科学と対話するという、知的な驚きに今も出会えなかったと思います。

斉藤国治著『星の古記録』はこちらから読めます。

内容紹介

一 星月に入るーー星食
 『日本書紀』の星食記録
 プロの観測者たち
 古天文学の登場 復元作業の実例
 月と星とどちらが近いか
 路を歩いていて見かけた星食
 正確な中国の古記録
 問題のある朝鮮の古記録
 ヨーロッパの星食古記録
 判定困難の星食記録

二 日蝕え尽きたりーー日食
 日本最古の日食記録
 記事の日付修正の試み
 奇怪な不食記事の羅列
 日食を祈禱で祓った話
 平安京が闇になった
 『源平盛衰記』の日食
 『書経』の日食
 『春秋』の日食
 東西でちがう日食の周期 長安で見えた皆既日食

三 歳星氐を犯すーー惑星の合犯
 ある夜の天変
 持統天皇に凶兆か
 惑星接近・合犯の記事
 三星合は天下の大乱
 西郷星
 惑星直列
 ベツレヘムの星

四 『明月記』の客星ーー超新星の爆発
 アマチュア天文家の発表
 わし座新星の例
 超新星の発見
 超新星の謎
 かに星雲
 『明月記』の客星記事
 日本・中国以外の記録
 その他の客星の記録

五 光り物ーー流星と隕石
 聖書のなかの流星
 中国・日本の最古の記録
 天狗と旻法師
 日本・ヨーロッパで同時記録
 『続日本紀』の流星
 その他の流星の記録
 『明月記』の光り物
 日蓮上人と星
 しし座流星群

六 ハレー彗星ーーその二千年の履歴
 天武天皇とハレー彗星
 彗星の多い年
 ハレー彗星の軌道
 ハレー彗星の周期
 ハレー彗星の履歴しらべ

七 南極老人星ーーカノープス
 老人星信仰
 日本・中国・朝鮮の観測記録

八 シリウスはむかし赤かったか
 赤い犬シリウス
 赤い謎をとく

九 ガリレオ衛星は中国で発見されていたか
 ガリレオ発見の四衛星
 ガリレオより二千年前

十 科学の黒船ーー金星過日
 発端の手紙
 地球と太陽との距離をはかる
 ハレーのアイデア
 金星経過のおこる周期世紀における観測
 一七六一年の金星観測
 ブ ドロップ
 一七六九年の金星観測
 陽視差の一覧
 一八七四年の観測の世界的情勢
 来日した観測隊
 メキシコ観測隊の出発
 メキシコ隊横浜に到着
 観天場の構造
 予備観測の開始
 いよいよ当日ーー山手観天場
 野毛山観天場にて
 ディアスの観測記
 写真撮影に成功
 撤収そして帰国

十一 黒い太陽ーー本邦初のコロナ観測
 荒井郁之助のこと
 本州を横断した皆既日食
 越後国三条における観測
 英国王立天文協会誌に発表
 伊沢修二のこと
 日食観測記念碑
 D・P・トッドのこと
 観測地を福島県白河に
 トッド夫人の日食残念記

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
星の古記録 (岩波新書 黄版 207)
著者
斉藤 国治
レーベル
岩波新書 黄版
出版社
岩波書店
発売日
1982年10月20日
ISBN
4004202078