新書嫁レビュー
化学が苦手だったのは、習い方が間違っていたからだった
2026-07-20
「化学は暗記科目」——その思い込みが、全部をつまらなくしていた
高校の化学の授業を思い返すと、ひたすら元素記号を覚え、反応式を丸暗記し、試験が終われば綺麗さっぱり忘れる、という繰り返しだった。なぜ水素と酸素が結びつくと水になるのか、なぜ塩は水に溶けるのか——そういった「理由」は一度も教わった記憶がない。化学は「覚えなければならない無数のルール集」だと信じて疑わなかった。その思い込みのせいで、化学が絡む話題が出るたびに思考を閉じていた。食品の成分表示を見ても読み飛ばし、薬の説明書を見ても意味がわからない。日常のあちこちに化学が潜んでいるのに、それが理解できないもどかしさをずっと抱えていた。
ところが、齋藤勝裕著『カラー図解でわかる高校化学超入門』を読んで、その認識が崩れた。化学は暗記科目ではなく、「なぜそうなるのか」の連鎖で理解できる学問だったのだ。
齋藤勝裕著『カラー図解でわかる高校化学超入門』はこちらから読めます。
原子の「気持ち」がわかると、化学反応が面白くなる
本書で最初に驚いたのは、原子の結合を「満員電車」と「空席」で説明するくだりだ。原子はそれぞれ電子の席に「定員」があり、席が満杯でないと不安定になる。だから原子同士は足りない席を補い合うために結びつく——これが化学結合の本質だという。学校でイオン結合と共有結合を丸暗記させられたとき、その理由を一度でも説明されていれば、随分と違っていただろうと思った。
カラー図解が豊富で、分子の立体構造や電子の動きが視覚的に理解できる点も大きい。たとえば水分子がなぜ折れ線型の形をしているのか、その形がどう水の性質に影響するのかが、ページを開くだけで直感的につかめる。名古屋工業大学名誉教授で200冊以上の著書を持つ齋藤勝裕氏が、一般読者に向けて徹底的に噛み砕いた内容だ。本書にはさらに有機化合物の章や、身近な化学現象の解説も充実している。ぜひ本書で確かめてみてください。
スーパーの棚が、別の場所に見えてきた
この本を読む前と読んだ後で、最も変わったのはスーパーでの時間だ。以前は食品の成分表示に並ぶカタカナの化合物名を見て、「よくわからない添加物」としか認識していなかった。
本書を読んだ後、たとえば「クエン酸」が酸性を示す有機酸であることや、「塩化マグネシウム」が豆腐の凝固剤として働く仕組みが、おぼろげながらでも見えるようになった。完全に理解しているわけではないが、成分表示を読むときに思考が止まらなくなった。薬局で栄養補助食品の説明書きを読む感覚も変わった。「何が体の中で何をしているのか」という問いが、以前より具体的に立てられるようになった。化学を知ることは、世界を一枚薄皮めくって見ることに似ている。スーパーの棚が、科学の実験室に見えてくる瞬間が生まれた。
「わからなかった」のは才能ではなく、入口の問題だった
この本を読まなければ、化学への扉は一生閉まったままだったと思う。苦手だという感覚は実は「正しく教わっていなかった」だけだったと、今は確信している。
著者の齋藤勝裕氏は東北大学大学院で理学博士を取得し、名古屋工業大学で長年教鞭を執ってきた化学者だ。専門は有機化学・物理化学・光化学と多岐にわたり、200冊を超える著書の多くが「わかりやすい化学」を追求したものだ。本書のカラー図解と平易な文章は、まさにその集大成といえる。化学が苦手だという感覚を持ったまま大人になった人ほど、読む価値のある一冊だ。
齋藤勝裕著『カラー図解でわかる高校化学超入門』はこちらから読めます。
内容紹介
現役の高校生はもちろん、高校化学を基礎からやり直したい人にも役立つように、
全分野から重点ポイントを選び、カラー図解でわかりやすく、親しみやすく解説しています。
化学の入門書として最適!
本書を読まれると、化学のおもしろさにビックリすることでしょう。
身についた化学の知識に驚くことでしょう。
そして読み終えたときには、自然がいままでと違った姿を見せてくれていることに唖然とするかもしれません。
予備知識は一切必要ありません。化学のおもしろさに共感していただけたら、大変うれしいことと思います。
はじめに
第1章 原子の構造
第2章 分子の結合
第3章 物質の状態と性質
第4章 物質の化学反応
第5章 無機化合物の種類と性質
第6章 有機化合物の特徴
第7章 高分子化合物
第8章 生体の化学
第9章 環境と化学物質
第10章 最新の化学技術
参考文献
索引
はじめに
第1章 原子の構造
宇宙の物質はどうやって生まれたか
原子の大きさはどれくらい?
原子核の構造とは
元素記号からわかること
電子殻は特徴的な球殻構造をもつ
他
第2章 分子の結合
分子は原子が結合してできたもの
静電引力で結合するイオン結合
金属結合の特性
共有結合は結合電子による接着作用
結合エネルギーから見た化学結合
他
第3章 物質の状態と性質
物質の性質とは
気体の性質を示す状態方程式
似た性質の溶質を溶かす溶媒
コロイドの状態といろいろな性質
ガラスは結晶ではなく流動性を失った液体
他
第4章 物質の化学反応
分子のエネルギーと反応熱
化学反応には活性化エネルギーが必要
反応速度と平衡状態
酸化・還元は酸化数で考える
水素燃料電池の発電のしくみ
他
第5章 無機化合物の種類と性質
元素はいくつもの種類に分かれる
代表的な合金の組成
レアメタルと呼ばれる元素
ほかの原子核に変化する放射性元素
宇宙・地球・地殻の元素の分布図
他
第6章 有機化合物の特徴
有機化合物とは
二重結合と三重結合
化合物の構造式には種類がある
窒素を含む有機物
有機化合物の酸化・還元反応
他
第7章 高分子化合物
いろいろな高分子化合物
モノマーが重合反応で結合してポリマーになる
合成繊維のつくり方
天然ゴムと合成ゴムの違い
無機化合物でできた高分子
他
第8章 生体の化学
生物の体組織は高分子でつくられている
タンパク質はアミノ酸が脱水縮合したもの
ビタミンは生体の機能を調節する
健康を守るために使われる薬
健康を害する毒の致死量
他
第9章 環境と化学物質
公害とげいいん物質
シックハウス症候群に見る化学反応の限界
大気を汚染する硫黄酸化物と窒素酸化物
環境にやさしいエネルギー
使用ずみの核燃料を再処理することの難しさ
他
第10章 最新の化学技術
新エネルギーとなるメタンハイドレートとシェールガス
フラーレンやカーボンナノチューブが期待される理由
次世代型ディスプレイに利用される有機ELの特徴
ニトロ基をたくさんもった新規爆弾
遺伝子工学が拓く遺伝子組換え技術
他
参考文献
索引
出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。
書誌情報
- 書名
- カラー図解でわかる高校化学超入門 (サイエンス・アイ新書)
- 著者
- 齋藤 勝裕
- レーベル
- サイエンス・アイ新書
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 発売日
- 2014年2月1日
- ISBN
- 9784797362466