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石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人 (双葉新書)

早瀬 利之

双葉新書 / 双葉社

2013年2月1日発売

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新書嫁レビュー

教科書では数行で終わる軍人——その素顔をたどる一冊

2026-06-15

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満州事変は「教科書の年表の一項目」だと思っていた

満州事変や石原莞爾という名前は、歴史の教科書で数行だけ触れた、遠い出来事として記憶していました。柳条湖で線路が爆破され、戦争へと連なっていく——その流れを、無機質な年表の一行として覚えていただけだったのです。けれど、そうやって人物を記号のように処理してしまうと、なぜそのとき人々がそう動いたのかという肝心の部分が、いつまでも他人事のままで腑に落ちません。その空白を、早瀬利之さんの『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』が、一次資料と関係者の証言で埋めていきます。年表の一行の裏には、評価が大きく割れる一人の人間の、生々しい言葉と判断があったことを知りました。

早瀬利之著『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』はこちらから読めます。

一次資料がほどく、評価の割れる人物像

本書が描くのは、英雄譚でも断罪でもありません。1931年、柳条湖での南満州鉄道爆破に端を発した満州事変。その作戦を立案し遂行した中心人物として、石原莞爾の名が歴史に刻まれています。本書はその彼の最晩年、戦後の東京裁判酒田臨時法廷での尋問の様子を、丹念に再現していきます。占領下にありながら堂々と意見を述べたとされるその姿を、著者は日記や講演録といった一次資料、そして関係者へのインタビューを通じて立ち上げていくのです。読者レビューにも、この本で初めて石原莞爾という人物を知り、見方が変わったという声が複数寄せられていました。その一方で、満州事変への関与や責任をどう捉えるかをめぐっては今も評価が大きく分かれており、本書の描き方に対しても、肯定的に受け止める読者と、もう少し距離を置いて読みたいと感じる読者の双方がいます。ある読者は、晩年の口述書を読んで賛否の入り混じった感想を抱いたと記しており、一人の人物をどう評価するかは決して単純ではないことが伝わってきます。歴史上の人物を、礼賛でも全否定でもなく、その言葉と判断のまま受け止めようとする本書の姿勢の続きは、ぜひ本書で確かめてみてください。

「年表の一行」が「考える対象」に変わった

この本を読んでから、歴史への向き合い方が変わりました。以前は、教科書に載る出来事を「そういうことがあった」と暗記の対象として通り過ぎていました。今は、ある決断の背後にどんな思考や立場があったのかを想像し、自分なりに是非を考えてみるようになりました。一人の人物の評価が、立場や資料によってこれほど割れるという事実そのものが、歴史を一つの正解として鵜呑みにすることへの戒めになったのです。ニュースや特集番組で過去の出来事が語られるときも、語り手が誰の視点に立っているのか、どの資料に基づいているのかを意識するようになりました。同じ出来事でも、海軍側から見るか陸軍側から見るかで景色がまるで変わるという当たり前の事実が、ようやく実感を伴って腑に落ちたのです。

知らないままなら、年表のまま終わっていた

この本に出会わなければ、私は満州事変も石原莞爾も、教科書の数行のまま放置していたはずです。著者の早瀬利之さんは長年にわたり石原莞爾を研究してきた作家で、膨大な一次資料に当たり、関係者への取材を重ねてきた書き手です。その丹念な仕事ぶりは、従来の人物像に貼られた解釈を一枚ずつはがしていくようだと評されています。歴史を年表の暗記で終わらせたくない方、評価の割れる人物をあえて自分の頭で考えてみたい方にこそ、手に取ってほしい一冊です。

早瀬利之著『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』はこちらから読めます。

内容紹介

「作戦よろしきを得れば、日本は敗北するものではなかった」「トルーマンこそ第一級の戦犯だ」日本の大義を堂々主張した極東国際軍事裁判「酒田法廷」の記録。特別付録・石原将軍「宣誓口述書」全文掲載。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人 (双葉新書)
著者
早瀬 利之
レーベル
双葉新書
出版社
双葉社
発売日
2013年2月1日
ISBN
4575154040