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なぜ信用金庫は生き残るのか (祥伝社新書)

鳥羽田 継之

祥伝社新書 / 祥伝社

2022年2月1日発売

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新書嫁レビュー

銀行より金利が高いのに、なぜ選ばれるのか

2026-05-22

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信用金庫は「時代遅れの小さな銀行」だと思っていた

メガバンクが店舗を減らし、地方銀行が統合を繰り返している時代に、信用金庫はそれよりもずっと古い存在で、利便性も低く、いずれ自然に消えていくものだと漠然と思っていました。インターネットバンキングが普及し、フィンテックが金融を変革しているこの時代に、小さな地域の金融機関が生き残れるはずがない。そう決めつけていたのです。そのイメージを持ったまま考えると、信用金庫を利用している中小企業は「他に選択肢がないから仕方なく」使っているのだと思えてきます。でも、実際にはメガバンクや地方銀行より金利が高いにもかかわらず、信用金庫のシェアも売り上げも伸びているという現実があります。鳥羽田継之著『なぜ信用金庫は生き残るのか』を読んで、その答えがはっきりしました。

鳥羽田継之著『なぜ信用金庫は生き残るのか』はこちらから読めます。

「お金を貸すだけ」ではなく、経営そのものに踏み込んでいた

本書が明かすのは、信用金庫が生き残っている理由が「安いから」でも「歴史があるから」でもなく、金融機関として一線を踏み越えた「本業支援」にあるという事実です。融資をして返済を待つだけの銀行と違い、本書に登場する信用金庫の職員たちは、取引先の中小企業のためにECサイトで名産品を中国市場に売り込んだり、補助金制度を調査して町工場をサポートしたり、大手企業と中小企業をつなぐ商談会を自ら企画したりしています。

信用金庫は信用金庫法に基づく協同組織の金融機関で、株主への利益還元を最優先とする銀行とは根本的に仕組みが違います。営業地域は一定の地域に限定され、お預かりした資金はその地域の発展に使われる。だからこそ、地域が衰退することは信用金庫自身の衰退でもあり、取引先企業を繁栄させることへの動機が他の金融機関とは根本的に異なります。本書には城南信用金庫をはじめ、全国各地のユニークな信用金庫の取り組みが詳しく紹介されています。ぜひ本書で確かめてみてください。

「古い仕組み」が「新しい価値」を生んでいると知った後では

この本を読む前、私は金融機関を「お金を預けるか借りるかする場所」として只の機能として見ていました。信用金庫をあえて選ぶ人がいるのは、「地元の老舗だから」という情緒的な理由だと思っていました。でも今は違います。メガバンクの支店統廃合が続き、地域の金融インフラが揺らいでいる中で、信用金庫が地域に根ざした相互扶助の仕組みとして機能していることの意味が見えるようになりました。日常生活の中でも、地元の商店街が衰退していく背景に何があるのか、あるいは逆になぜあの商店街は元気なのかという問いを、以前とは別の視点で考えられるようになりました。

本書には、信用金庫の職員が中小企業経営者に伴走し、経営者自身が「自分で考えて動ける」状態を引き出した事例が複数紹介されています。単に資金を融通するだけでなく、販路開拓・採用支援・経営計画の策定まで踏み込んで関わることで、取引先企業の業績が実際に改善したケースも記録されています。利益を外部の株主に返す構造ではなく、地域に蓄積された信頼と資金を地域のために使い続ける仕組みが、この「踏み込んだ支援」を可能にしているのだと本書は説明します。経済合理性だけでは測れない価値が、地域の金融機関には宿っています。

「小さな銀行」という視点を捨てると、全く別の景色が見える

著者の鳥羽田継之は、金融・経済分野のジャーナリストとして長年にわたって信用金庫の現場を取材してきた人物です。本書は「信用金庫の宣伝」ではなく、日本の金融システムが向かうべき方向を問う視点から書かれています。信用金庫という存在を正確に知らないまま、銀行と大差ないものとして見続けるのは、地域経済の実態を理解する上での大きな損失です。地域と金融の関係を考えるすべての人に読んでほしい一冊です。

鳥羽田継之著『なぜ信用金庫は生き残るのか』はこちらから読めます。

内容紹介

すべての業界、企業の参考となる
金融業界は今、激変の最中にある。メガバンクは店舗数縮小を含むリストラに走り、地方銀行は統合・再編だけでなく破綻すら囁かれる。いっぽう、急伸しているのが信用金庫だ。融資先はコロナ禍で打撃を受けている中小企業が中心であり、銀行より金利が高いにもかかわらず、シェア、売り上げ共に伸ばしている。近年、城南信用金庫が始めたプロジェクトを基点に、全国の信用金庫と取引先が連携する広域ビジネスマッチング・プラットフォームが完成した。メガバンクができなかったことを成し遂げたのだ。厳しい経営環境下、なぜ信用金庫は生き残るのか。この答えは金融業界のみならず、すべての業界、企業に通用する答えとなるだろう。
第一章 銀行が消える日
第二章 なぜ信用金庫は強いのか
第三章 異端の経営・城南信用金庫
第四章 地域を超えた「よい仕事おこし」プロジェクト
第五章 全国の個性的な信用金庫
第六章 金融機関が生き残るには

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
なぜ信用金庫は生き残るのか (祥伝社新書)
著者
鳥羽田 継之
レーベル
祥伝社新書
出版社
祥伝社
発売日
2022年2月1日
ISBN
4396116500