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日本経済図説

宮崎勇

岩波書店

1996年2月1日発売

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新書嫁レビュー

「経済の数字は難しくて自分には関係ない」という思い込みが、日本社会の変化を読む目を塞いでいた

2026-05-09

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「経済統計や数字は専門家のものであり、自分の生活とは別世界の話だ」とずっと思っていた

GDPや経常収支、財政赤字——経済のニュースで出てくる言葉は難解で、理解するには専門知識が必要だと思っていました。経済学は数式と用語の世界であり、一般人が深く理解しようとしても「わかった気になるだけ」という感覚がありました。だから経済のニュースを聞いても、「どうせ自分の生活には直接関係ない」と心のどこかで切り離していました。

でも、物価が上がって給料が増えない現実や、社会保障の将来への不安を感じるとき、それが自分の生活と経済の数字のどこかでつながっているはずだとぼんやりと感じていました。その「つながり」が見えないまま、ニュースの数字を眺めるだけで終わることへの歯がゆさがありました。

宮崎勇著『日本経済図説』を読んで、その歯がゆさの解消する道筋が見えました。

宮崎勇著『日本経済図説』はこちらから読めます。

グラフと図が、経済を「自分ごと」に変えた

本書のユニークな構成は、見開き2頁で1項目を完結させる形です。左頁には図表・グラフ、右頁には解説——その積み重ねで110項目にわたって日本経済の実態を見渡せます。産業構造の変化、労働力の推移、金融と財政、国際収支——それぞれが視覚的なデータとともに示されることで、抽象的だった経済の話が時代の流れとして見えてくる構造になっています。

特に印象深いのは、高度経済成長から低成長期への移行が、グラフ上でくっきりとした折れ線として現れる場面です。「あの時代に何かが変わった」という感覚が、データとして目の前に現れる。著者は「歴史の流れの中で日本経済を捉える」という方針を一貫させており、その視点が数字に奥行きを与えます。本書にはさらに、国民生活の水準と国際比較についての章が詳しく展開されます。ぜひ本書でその全貌を確かめてみてください。

経済ニュースを「受け取る側」から「読む側」になった

読む前と後で、日々の経済ニュースとの関わり方が変わりました。以前は「金利が上がった」「貿易赤字が拡大した」というニュースを聞いても、それが自分とどうつながるかがわかりませんでした。でも今は、長期的なグラフの文脈でそのニュースがどこに位置するかを考えるようになりました。

具体的には、日本の実質賃金が長期にわたって横ばいか低下してきたことを図で見てから、「給料が増えない」という自分の実感が歴史的な文脈の中に置かれました。個人の感覚だと思っていたことが、構造的な趨勢の一部だと気づくと、問題の見え方が変わります。どこに問題の根があるのかを問える人間と、ただ漠然と不安を抱える人間とでは、日常の選択や社会への向き合い方が違ってくると感じました。

さらに、職場での会話でも変化がありました。会社の業績や市場環境について話すとき、以前はニュースで見た断片的な情報を繰り返すだけでした。しかし今は、産業構造の変化や労働コストの推移という大きな視野で話せるようになりました。数字を「点」としてではなく「線」として読む習慣が、社会の変化を先読みする感覚をもたらしてくれました。

経済企画庁長官を務めた経済学者が、半世紀にわたって日本経済を記録した

宮崎勇(1923-2016)は東京大学経済学部卒で、経済安定本部を経て経済企画庁事務次官・長官、大和総研理事長を歴任した経済官僚・学者です。本書は1977年の初版から版を重ねてきた岩波新書の定番書で、経済の現場を知り抜いた著者だからこそ書ける、データと現実が直結した解説が特徴です。

この本を読まなければ、経済を「難しい専門家の世界」として遠ざけ続け、数字の変化が自分の生活とどうつながるかを考えないまま過ごしていたでしょう。

宮崎勇著『日本経済図説』はこちらから読めます。

内容紹介

バブル崩壊、長びく不況、市場開放の波と変転・激動する日本経済。その全体像をとらえるための格好の入門書。歴史の流れ、国際社会の中に日本経済を位置づけ、実像をしっかりとつかめるよう工夫をこらした。解説とグラフを見開きにおさめたコンパクトで見やすい構成。1989年の初版以降のデータを新たに加えて刊行する。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
日本経済図説
著者
宮崎勇
出版社
岩波書店
発売日
1996年2月1日
ISBN
4004304334