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仏教 第2版 (岩波新書)

渡辺 照宏

岩波新書 / 岩波書店

1974年12月20日発売

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新書嫁レビュー

仏教は「死後の世界のための宗教」だと思っていた

2026-04-23

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仏教はお葬式の宗教だと思っていた

お寺は葬儀と法事のときだけ行く場所でした。「南無阿弥陀仏」は死んだ人のための言葉で、仏教は来世への安心を与える宗教——そういうイメージで固まっていました。生きている間の問いに仏教が答えてくれるとは思っていなかった。しかし歴史の流れを見ると、仏教は成立から2600年近くにわたって、数十億人の人間の生き方と考え方に影響を与え続けてきました。「なぜ苦しいのか」「どう生きるべきか」という問いへの答えが、その核心にあったはずです。

渡辺照宏著『仏教』はこちらから読めます。

釈迦は「死後の世界」を語ることを拒否し続けた

渡辺照宏がこの本で最初に示すのは、仏教の出発点が「来世」ではなく「この生の苦しみ」であることです。釈迦はある弟子に「死後に魂は存在するか」と問われたとき、答えを与えませんでした。これを「無記」といいます。死後のことを論じることは、今ここにある苦しみを解決することとは無関係だからです。

釈迦が出発した問いは「苦」——すなわち人間の存在が根本的に「思い通りにならない」という現実でした。老いること、病むこと、愛するものと別れること、望むものが得られないこと——この「苦」の原因を「渇愛(タンハー)」に見出し、その渇愛を滅することで苦から解放される道を「八正道」として示しました。この構造は哲学でも形而上学でもなく、徹底した実践の体系です。本書ではさらに、釈迦の死後に仏教がいかに変容し、大乗仏教として展開していったかまで解説されています。ぜひ本書で確かめてみてください。

「なぜ思い通りにならないのか」への答えが変わった

この本を読んでから、日常の「イライラ」や「執着」への向き合い方が少し変わりました。思い通りにならないとき、それを「環境のせい」「相手のせい」として処理してきましたが、仏教の視点では「渇愛」——あるべき状態への強い執着——が苦しみを作っているのだと示されます。

「思い通りにならないこと」そのものが問題なのではなく、「思い通りにならないことへの抵抗」が苦しみを作るという逆転は、小さいようで日常の感情の処理を根本から変えうる視点です。2600年前の出発点が、今日の自分の心理にこれほど直接つながっているとは思っていませんでした。宗教としての仏教と、思想・哲学としての仏教の両面を、この一冊が分かりやすく解き明かします。

20以上の言語に精通した仏教学者が描く、仏教の全体像

渡辺照宏(1907〜1977年)は神奈川県生まれ。東京帝国大学文学部印度哲学科卒業後、インド・スリランカに留学してサンスクリット語・パーリ語を習得した仏教学者です。東京大学文学部教授として仏教学・インド哲学を担当し、20以上の言語に精通した碩学として知られます。本書は原著の1956年刊行後に改訂を重ね、「第2版」として今も広く読まれる仏教入門の定番です。

この本を読まなければ、仏教を一生「葬儀の宗教」として誤解し、釈迦が出発した「苦」という問いの深さを知らないままでいたはずです。生きていることの苦しみへの答えとして2600年前に生まれた思想が、今日の自分に届く体験は、この本でしか得られないものです。

渡辺照宏著『仏教』、購入はこちらから。

内容紹介

まえがき

1 仏教へのアプローチ
   日本人と仏教 仏教的遺産 日本語の中の仏教語 仏陀と成仏 往生 念仏 中国仏教の成立 中国における西域仏教 インドから来た僧侶たち 玄奘 プニョーダヤ アモーガヴァジュラ 塔 ヨーロッパにおけるインド研究の開始 パーリ語仏典の研究 チベット仏教の研究 サンスクリット語仏典の発見 北方仏教の研究 西域の再発見 仏教研究の新方向 日本における仏教研究 本書の歴史的立場

2 仏陀とは何か
   仏陀の宗教 仏陀が説いた宗教 仏陀を信仰する宗教 仏陀についての考察

3 仏陀以前のインド
   インドの風土 アーリア族の優勢 非アーリアの諸民族 インダス文明 ドラヴィダ文明 モンゴル系 ヴェーダの宗教 バラモン教 ウパニシャッドの思想 出家修行者の群 二大史詩 ジナ教 アージーヴィカ教 仏教の立場

4 仏陀の生涯
   仏陀の伝記 ボサツの誕生 誕生地の遺跡 ボサツの母 予言 青年時代 四門出遊 出家 苦行 菩提樹 マーラとの闘い 成道 世尊 独覚 梵天の勧請 鹿野苑 最初の説法 中道 四つの聖なる真理 苦悩について 苦悩の起原 苦悩の克服とそれを実現するための道 仏陀となったという宣言 教団の成立 三大弟子 マガダ国 カピラヴァストゥ デーヴァダッタ 尼僧のはじまり 祇園精舎 鹿子母講堂 プラセーナジット王 カウシャンビー 西端と東端 ヴァイシャーリー 布教旅行 ネハン経 最後の旅 生命力の放棄 入滅の宣言 最後の供養 クシナガラ

5 仏陀の弟子たち
   ──出家と在家──
   出家と在家 出家修行者の優位 出家教団 サンガ 戒律の条項 反省の日 布薩 雨季 祝祭日 寺院 ビクシュの衣食 教団の運営 在家信者 在家のための説法 平凡な在家信者 すぐれた在家信者たち 富豪ウグラ 富豪ハスタカ プールナの僻地布教 在家仏教の意義

6 聖典の成立
   ──アショーカ王の前と後──
   聖典の伝承 ヴァイシャーリー会議 聖典の編集 アショーカ王当時の仏教 アショーカ王の入信 アショーカ王の法 アショーカ王と仏教 ラーフラへの教誡 聖典成立以前の仏教 多界経と六界経 四摂事 四無量 慈愛の問題

7 仏陀の理想をめざして
   ──ボサツの道──
   ジャータカ物語 ジャータカのテーマ パーラミター 六パーラミター ボサツの拡大解釈 ボサツの道 ヨーガ ヨーガと三界 ヨーガと無常観 大乗の静慮 静慮パーラミター ヨーガの実践者たち 智慧のパーラミター 般若経典 般若と方便 中観派 ボサツの学芸 不住生死涅槃 発菩提心 第三の道

8 仏陀の慈悲を求めて
   ──信仰の道──
   帰依 帰依のいろいろ 三宝への帰依 ストゥーパの建立 ストゥーパの寄進者たち ストゥーパ礼拝の問題点 法華経のストゥーパ信仰 大乗とストゥーパ 仏陀の本体 ヴァイローチャナ仏陀 大日如来 ボサツたち 明王 天部 マンダラの世界 三密のヨーガ 石は沈む 船に乗せる 廻向 ボサツ道の極致

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
仏教 第2版 (岩波新書)
著者
渡辺 照宏
レーベル
岩波新書
出版社
岩波書店
発売日
1974年12月20日
ISBN
4004121507