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トウ小平 (講談社現代新書)

エズラ・F・ヴォーゲル橋爪大三郎

講談社現代新書 / 講談社

2015年11月19日発売

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新書嫁レビュー

毛沢東の後継者を「陰の補佐役」と思っていた、その誤解

2026-07-18

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鄧小平は、陰で控えていた二番手だと思い込んでいた

中国の現代史を少しでも知っている人なら、毛沢東の名前は必ず出てきます。一方で鄧小平については、「改革開放を進めた人」「天安門事件のときのリーダー」という断片的な印象しか持っていない方が多いはずです。自分もそうでした。毛沢東という巨大な存在の影で、補佐役として地味に政策を実行した人物——そんなイメージを長年抱えていました。正直に言えば、中国近現代史に登場する人物の中で、鄧小平はずっと「毛沢東の次の人」という程度の位置づけにしかいませんでした。でもこの本を読んで、その認識がまったく逆だったとわかりました。鄧小平こそが、現代中国の形そのものを作り上げた真の設計者だったのです。

エズラ・F・ヴォーゲル著、橋爪大三郎訳『トウ小平』はこちらから読めます。

10年間の調査が明かす、一人の政治家の実像

本書は、ハーバード大学名誉教授のエズラ・F・ヴォーゲルが10年をかけて書き上げた大著『鄧小平時代』のエッセンスを、社会学者・橋爪大三郎とのインタビュー形式でまとめたものです。ヴォーゲルは1979年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著してアメリカに日本への警鐘を鳴らした人物で、東アジア研究センター所長やフェアバンク中国研究センター所長を歴任したアジア研究の碩学です。そのヴォーゲルが晩年の研究テーマとして選んだのが、他でもない鄧小平でした。

本書が語る鄧小平は、単なる「改革開放の実務家」ではありません。毛沢東の後を受けた崩壊寸前の中国をどう立て直したか、文化大革命で三度にわたり失脚しながらそのたびに政界へ復帰した粘り強さ、そして天安門事件という歴史的分岐点における判断の背後にどんな思考があったか——そのすべてが具体的なエピソードとともに語られています。ヴォーゲルの著作の中国語版はわずか半年で60万部を超えたという事実が、中国人自身がこの人物をどれほど再評価しているかをよく示しています。本書にはさらに台湾統一問題や日中関係についても踏み込んだ視点が展開されています。ぜひ本書で確かめてみてください。

歴史上の人物を「立体的に見る」ことで、現在が違って見えてくる

読み終えてから、ニュースで「中国」という言葉が出るたびに見え方が変わりました。読む前は、中国の政策や外交姿勢は「共産党の思想」という一言で片付けていました。でも鄧小平の実像を知った後は、そこに積み上がった歴史的判断の連鎖が透けて見えるようになりました。あの時なぜそう決めたのか、あの政策の根拠はどこにあるのか——歴史を通して現在を解釈する視点が、自然に身についた気がします。

政治ニュースを見るときの解像度が変わると、日常の中のさまざまな報道の意味合いが変わってきます。「また中国が強硬な姿勢を取っている」ではなく、「この判断の背後には何があるのか」と考えられるようになる。それだけで、世界の読み方がずっと豊かになります。

ハーバードの碩学だからこそ書けた、政治家の全体像

エズラ・F・ヴォーゲルは2020年12月に90歳で逝去しましたが、本書はその晩年の集大成的な研究成果です。特定のイデオロギーに偏ることなく、膨大な一次資料と証言をもとに鄧小平という人間を描き切ったその姿勢は、読んでいる間じゅう知的誠実さを感じさせます。橋爪大三郎との対話形式をとることで、専門的な内容が驚くほど平易に届く構成になっています。

この本を読まなければ、現代中国のことをずっと表面しか見えていなかったと思います。

エズラ・F・ヴォーゲル著、橋爪大三郎訳『トウ小平』はこちらから読めます。

内容紹介

現代アメリカで中国研究を代表する社会学者、エズラ・F・ヴォーゲルは、10年をかけて『トウ小平』を書いた。『トウ小平』は関連資料をくまなく踏査し、歴史を拓いた指導者の実像に迫っている。しかし、ボリュームが大きく、値段が高く、専門的である。そこで、ヴォーゲルのトウ小平研究の核心を、わかりやすく伝える「普及版」が必要であると考えた橋爪大三郎が、実際にヴォーゲルにインタビューしてまとめたのが本書である。

「トウ小平は、二〇世紀後半から二一世紀にかけての世界史にとって、もっとも重要な人物だ」--橋爪大三郎

「いま中国は相当強くなった。一〇年か二〇年で、GDPは世界のトップになるだろう。これがどうして可能になったかというと、トウ小平の開いた道なわけです。あれほど経験があって、権威があって、あらゆる面の実力を兼ねそなえている人は、いない」
「このインタヴューは短いけれど、トウ小平の生涯と業績の大事なポイントをすべて盛り込むものになった」--ヴォーゲル

現代アメリカで中国研究を代表する社会学者、エズラ・F・ヴォーゲルは、10年の歳月をかけて『トウ小平』を書いた。英語版が2011年、中国語版が2012年、日本語版が2013年に出されたが、中国語版はわずか半年で60万部を上回るベストセラーとなった。

『トウ小平』は関連資料をくまなく踏査し、膨大で周到なインタヴューを経て、歴史に生き、歴史を拓いたひとりの指導者の実像に迫っている。しかし、ボリュームが大きく、値段が高く、専門的である。ここから有益な情報をえられるはずの一般読者には届きにくい。

そこで、ヴォーゲルのトウ小平研究の核心を、わかりやすく伝える「普及版」が必要であると考えた橋爪大三郎が、実際にヴォーゲルにインタビューし、誰にでも読みやすくまとめたのが本書である。

これを読まずして、現代中国は語れない。

【エズラ・F・ヴォーゲル】
ハーバード大学ヘンリー・フォードII世社会科学名誉教授。1958年にハーバード大学にて博士号(社会学)を取得後、日本語と日本の家族関係の研究のために来日し、2年間滞在。79年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を発表し、ベストセラーとなる。10年以上を費やした『現代中国の父 トウ小平(上・下)』(日本経済新聞出版社)は、 現在まで中国・香港・台湾の累計で100万部以上を売り上げている。

【橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう)】
1948年生まれ。社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京工業大学名誉教授。著書に『はじめての構造主義』『はじめての言語ゲーム』、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(いずれも講談社現代新書)などがある。
まえがき  エズラ・F・ヴォーゲル 
『トウ小平』(新書版)のできるまで  橋爪大三郎
プロローグ 
第1章  トウ小平とは何者か
第2章  革命家、トウ小平
第3章  国共内戦から新中国成立へ
第4章  文化大革命
第5章  トウ小平の改革開放
第6章  天安門事件
終 章  これからの中国

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
トウ小平 (講談社現代新書)
著者
エズラ・F・ヴォーゲル / 橋爪大三郎
レーベル
講談社現代新書
出版社
講談社
発売日
2015年11月19日
ISBN
9784062883450