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ドキュメント 軍人たちの戦後

神立 尚紀

小学館新書 / 小学館

2026年7月31日発売

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新書嫁レビュー

特攻で死ねなかった男たちにこそ、本当の戦争が待っていた

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戦争は、終戦の日で完結する物語だと思っていました

戦争の物語は、玉砕や特攻や、あるいは終戦の日の玉音放送で幕を閉じるのだと、私はずっと思っていました。教科書もドラマも、たいてい「戦争が終わった」ところで筆を置きます。生き延びた兵士たちがその後どんな人生を送ったのかは、誰も教えてくれません。慰霊碑の前に立っても、どこかしっくりこないものが残っていました。名前も知らない誰かの「その後」を、私は一度も想像したことがなかったのです。神立尚紀の『ドキュメント 軍人たちの戦後』を読んで、その認識は根底から崩れました。

神立尚紀著『ドキュメント 軍人たちの戦後』はこちらから読めます。

「生きて虜囚の辱めを受けず」のはずが、戦後は経営者になっていた

本書に描かれる酒巻和男の人生は、その最たるものです。1941年12月8日、真珠湾攻撃に特殊潜航艇で参加した10人のうち、故障で座礁し、ただ一人アメリカ軍に捕らえられて「捕虜第一号」となった海軍少尉です。他の9人は「軍神」として祀られました。生きて虜囚となった酒巻は、戦後トヨタ自動車工業に入社し、ブラジル現地法人の社長まで務めて81歳で世を去っています。「軍神」と「捕虜」を分けたのは紙一重の偶然でしかなかったのに、その後の人生はここまで違うのです。本書にはさらに、零戦搭乗員でありながら戦後は「牛たん」を仙台名物に育て上げた大川原要や、BC級戦犯容疑から逃げ延びた山辺雅男、存在そのものを歴史から消された「桜花」発案者・大田正一の記録も収められています。それぞれの「その後」がどう転んだのかは、ぜひ本書で確かめてみてください。

慰霊碑の前で、名前のない誰かを想像するようになった

この本を読む前は、慰霊碑や戦争関連のニュースを目にしても、遠い過去の出来事として素通りしていました。読んだ後は違います。仙台で牛たんを食べるとき、そこに元零戦搭乗員の第二の人生があったかもしれないと考えるようになりました。テレビで見かける古い写真の若い兵士たちにも、生きて帰った後の何十年かがあったはずだと、自然に想像するようになりました。戦争は「終わった日」で止まっている出来事ではなく、そこから何十年も続いていく個人の人生の集積なのだと、輪郭を持って感じられるようになりました。

知らずにいたら、ずっと「戦争は終戦で完結する話」だと思い込んだままだった

著者の神立尚紀は、1986年から講談社「フライデー」の専属カメラマンを務めたのち、1995年に戦後50年の特集取材をきっかけに戦争体験者の取材を始め、97年からフリーとなった人物です。1995年の取材開始から30年近くにわたり、150人を超える元零戦搭乗員をはじめ、遺族など関係者500人以上に直接会って話を聞いてきた、その蓄積があるからこそ書ける記録だと思います。もし手に取っていなければ、私はいまも「戦争は終戦の日に完結する話」だと思い込んだままだったはずです。

神立尚紀著『ドキュメント 軍人たちの戦後』はこちらから読めます。

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内容紹介

苛酷な「第二の人生」を生きた男たちの記録

「俺たちは何のために戦ったのかーー」
敗戦によって突きつけられたのは、あまりにも苛酷な「第二の人生」だった。

BC級戦犯容疑から逃げ延びた海軍少佐 山辺雅男
存在自体を消された「桜花発案者」 大田正一
真珠湾攻撃で捕らえられた「捕虜第一号」 酒巻和男
薬づくりに人生をかけた特攻隊の生き残り 内藤祐次
「牛たん」を仙台名物にした元零戦搭乗員 大川原要
慰霊と巡拝に後半生を捧げたベテラン戦闘機乗り 角田和男

他に源田実、水木泰、福山孝之、湯野川守正の波乱万丈の人生、柳瀬千尋の軍歴、ネイビー会でのこぼれ話も収録。
これまで500人以上の元軍人・遺族にインタビューをしてきたジャーナリストによる、歴史を「正しく知る」ための一助となる貴重な記録集。

戦争をじかに戦った軍人たちがどのように生きたか。それを知ることは、令和を生きるわれわれにとっても、反面教師をふくめた貴重な道標になるだろう。(「はじめに」より)

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
ドキュメント 軍人たちの戦後
著者
神立 尚紀
レーベル
小学館新書
出版社
小学館
発売日
2026年7月31日
ISBN
9784098255146