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名画を見る眼 (岩波新書 青版 729)

高階 秀爾

岩波新書 青版 / 岩波書店

1971年1月1日発売

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新書嫁レビュー

「きれい」としか言えなかった西洋絵画の「読み方」を教えてもらった

2026-04-25

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美術館で絵を見ても「きれい」「暗い」しか感想が出なかった

美術館に行くたびに、何か感じるべきだという焦りがありました。有名な絵の前で立ち止まり、「きれいだな」とは思う。でも「なぜこの構図なのか」「この色は何を意味するのか」「なぜ人々が何百年もこれを価値あるものとして伝えてきたのか」——そういう問いを立てる方法を知りませんでした。解説を読んでも「〇〇年の作品で〇〇様式の傑作」という説明が増えるだけで、絵そのものへの理解が深まる感じがしない。美術の「見方」とはどういうことなのかを、この本が初めて教えてくれました。

高階秀爾著『名画を見る眼』はこちらから読めます。

ファン・アイクの絵に「鏡」が描かれていた理由

高階秀爾が本書で最初に取り上げるのはファン・アイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」(1434年)です。この絵には奥の壁に小さな鏡が描かれており、その鏡の中に画家自身とみられる人物が映っています。なぜ画家はここに鏡を描いたのか——それは単なる装飾ではなく、「証人として画家がその場にいた」という法的・社会的な意味を持っていたことが明かされます。

本書ではファン・アイクからマネまで、油彩画の誕生から19世紀末までの15の名画を一枚ずつ丁寧に読み解きます。「なぜこの構図か」「何がどこに描かれているか」「当時の社会的文脈で何を意味していたか」——そういう視点で一枚の絵に向き合うことで、絵の前での体験が全く変わります。ルネサンス・バロック・ロマン主義・印象派それぞれの「見るポイント」については、ぜひ本書で確かめてみてください。

「きれい」が「面白い」に変わった

この本を読んでから、美術館での過ごし方が変わりました。説明文を読んでから絵を見るのではなく、絵そのものを「何が描かれているか」「なぜここにこれがあるか」という問いを持って読もうとする姿勢ができました。

フェルメールの光の扱い方に気づいたとき、カラヴァッジョの暗闇の使い方を感じたとき——以前は「なんとなくすごい」だったものが「これはこういう意図のある技術だ」として見えるようになりました。絵が「感じるもの」から「読み解けるもの」に変わる体験は、音楽や文学の理解が深まるときと似ています。知識が鑑賞を損なうのではなく、知識が鑑賞を豊かにする——それを最も素直に体感させてくれたのが、この薄い新書でした。

東大総長を輩出した西洋美術史の第一人者

高階秀爾(1932〜)は東京都生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業後、フランス政府招聘留学生としてパリに留学し、ルネサンス以降の西洋美術史研究を続けました。東京大学名誉教授・国立西洋美術館館長・大原美術館館長を歴任。2002年には文化功労者に選ばれた日本を代表する美術史家です。本書は1969年の刊行で、累計82万部・50年以上読み継がれる西洋美術入門の大定番です。

この本を読まなければ、絵画の前で「きれい」「暗い」しか言えないまま、名画が持つ豊かな情報を読み取れずにいたはずです。「見方」を知ると、美術館での時間が全く変わります。

高階秀爾著『名画を見る眼』、購入はこちらから。

内容紹介

現在、わが国では西洋美術の展覧会が相次いで催されており、西洋の名画に直接ふれる機会が多くなった。これらの作品をただ漫然と眺めるだけではなく、一歩進んで西洋絵画の本質について改めてよく理解したいとする要求に応えて執筆された、誰にもわかる西洋美術鑑賞の手引書。代表的名画十五点を選び、それぞれに懇切な解説を試みる。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
名画を見る眼 (岩波新書 青版 729)
著者
高階 秀爾
レーベル
岩波新書 青版
出版社
岩波書店
発売日
1971年1月1日
ISBN
4004140641