新書嫁レビュー
「感じのいい人」は、生まれつきだと思い込んでいた話
2026-07-11
感じのよさは、持って生まれた性格だと思っていた
わたしはずっと、「感じのいい人」というのは、生まれつき愛嬌のある人のことだと思っていました。笑顔が自然で、誰とでも打ち解けられて、努力しなくても好かれる。自分はそういう星の下に生まれなかったのだから仕方ない、と心のどこかで諦めていたのです。
ところがその思い込みのまま日々を過ごしていると、職場でも家庭でも、なぜか会話の後にうっすらと疲れが残る。悪気はないのに距離を取られる気がする。その正体がわからないまま、もやもやを抱えていました。その認識を根底から崩してくれたのが、この一冊です。
斎藤茂太著『なぜか「感じのいい人」といわれる人の共通点』はこちらから読めます。
感じのよさは「技術」であり、習慣だった
本書が示すのは、感じのよさが才能ではなく、観察可能な「共通点」の集まりだという事実です。たとえば、感じのいい人は相手の痛みに思いがおよぶ。一方で感じのよくない人は、無自覚に自分中心で世界が回っている。両者を分けるのは性格の良し悪しではなく、相手の立場を一瞬想像するかどうかという、ほんの小さな習慣の差なのだと著者は説きます。
印象的なのは、感じのいい人ほど「むずかしい話をやさしく話す」という指摘です。知識をひけらかすのではなく、相手がわかる言葉に翻訳する。やんわり断られたら、深追いしない。逆に感じのよくない人は、相手が困っていても自分の都合を優先してしまう。こうした一つひとつの差が、知らないうちに相手の安心感を左右していたのです。読者の感想にも「わかりやすい具体例が盛り込まれていて癒される」という声があり、説教ではなく日常の場面に寄り添って書かれているのがよく伝わってきます。本書にはさらに、立場が変わっても一貫した自分を保つ人の振る舞いや、はっきり意見を言いながらも角が立たない話し方についても、具体例とともに踏み込んで書かれています。気になる方は、ぜひ本書で確かめてみてください。
「自分のせい」から「やり方の問題」へ、見え方が変わった
この本を読んでから、人付き合いの捉え方が変わりました。以前は、誰かと気まずくなると「自分はもともと感じが悪い人間なんだ」と落ち込んでいました。けれど今は、「あの場面で相手の事情を想像しそびれた」という、修正可能な行動の問題として振り返れるようになったのです。
たとえば家族にきつい言い方をしてしまった日も、原因を性格ではなく「あの瞬間に相手の疲れを想像しそびれた」という具体的な一言に絞り込めるので、次に直せます。職場で会話がぎこちなかったときも、自分を責める代わりに、どの習慣を一つ足せばよかったかと冷静に振り返れるようになりました。無駄にイライラすることが減り、自分も周りも大切にできるようになったのです。感じのよさが習慣であるなら、わたしにも今日から育てられる。そう思えるだけで、人と会うのが少し楽しみになりました。
才能のせいにして、損をするところだった
この本に出会わなければ、わたしは「感じのよさは生まれつき」という誤解を抱えたまま、人間関係を半ば諦めて生きていたはずです。著者の斎藤茂太さんは、長く精神科医として人の心に向き合い、日本精神病院協会の名誉会長も務めた人物です。臨床の現場で無数の人間関係を見つめてきた専門家だからこそ、感じのよさを精神論ではなく観察できる習慣として言語化できたのだと思います。
人付き合いがなぜかうまくいかない、と感じている方は、その原因を性格のせいにしているのかもしれません。
斎藤茂太著『なぜか「感じのいい人」といわれる人の共通点』はこちらから読めます。
書誌情報
- 書名
- なぜか「感じのいい人」といわれる人の共通点 (WIDE SHINSHO 191)(新講社ワイド新書)
- 著者
- 斎藤 茂太
- レーベル
- 新講社ワイド新書
- 出版社
- 新講社
- 発売日
- 2013年5月1日
- ISBN
- 4860814770