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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

勉強しても成績が伸びない――原因は手の中の小さな板だった

スマホは便利な道具にすぎないと思っていた

スマホは生活を便利にしてくれる道具で、使い方さえ気をつければ問題ない――私はずっとそう思っていました。勉強の合間に少し触るくらい、息抜きの範囲だと。けれど、机に向かう時間はそれなりにあるのに、なぜか手応えがない。集中が続かず、覚えたはずのことがすぐ抜けていく。少し休もうと画面を開けば、気づけば三十分が消えている。その正体がつかめないまま、「自分の頑張りが足りないのだろう」「意志が弱いのだろう」と自分を責めるばかりで、どこか釈然としないものを抱えていました。榊浩平著・川島隆太監修『スマホはどこまで脳を壊すか』は、そのもやもやの正体を、データではっきりと突きつけてきました。

長時間勉強しても、スマホ漬けだと効果が打ち消される

この本が示す調査結果は、衝撃的なものです。本書によれば、スマホを毎日長時間使う子どもは、たとえ長く勉強しても、ほとんど勉強していない子と成績がほぼ変わらない傾向が見られたとされています。努力そのものが、手の中の小さな板によって打ち消されてしまうというのです。さらに本書は、思考の中枢である前頭前野が、スマホに頼って脳を「ラク」させているあいだ働きを落としている可能性を指摘します。読者からは、コロナ禍で広まったオンライン会議について「対面と違って脳が同期して活動しにくい」という本書の指摘が、自分の実感とぴったり重なったという声も寄せられています。画面越しのやり取りでは、目の前に相手がいるときのような緊張感が生まれにくく、どこかぼんやりしたまま会話が進んでしまう――そんな経験に思い当たる人は少なくないはずです。本書では、子どもおよそ二百人規模を数年にわたって追いかけた調査の詳細や、成長期の脳発達への影響、さらに大人にも見られる不安・抑うつ傾向との関わり、そして脳を守るために何ができるのかが、さらに踏み込んで語られていきます。

集中できない理由がわかると、机に向かう姿勢が変わる

この本を読む前、私は集中できない自分を、意志の弱さのせいだと思い込んでいました。読んだ後は、その見方が変わりました。机に向かうとき、まずスマホを別の部屋に置くようになったのです。通知が鳴らない環境を作っただけで、文章が頭に入る感覚がまるで違う。これまで「気が散る自分が悪い」と片づけていたことが、実は脳が置かれた環境の問題だったのだと腑に落ちると、自分を責める気持ちが減り、できることに目が向きました。読者の声にもあったように、スマホは一日のうち決めた時間内にとどめる、寝る一時間前にはやめる、やるべきことを終えてから触る、といった小さなルールから始めるだけで、日常の手応えは確かに変わってきます。いきなりすべてを断つのではなく、無理のない一歩を置くことが続けるコツなのだと、身をもって感じています。

知らないままなら、努力を空回りさせ続けていた

この本に出会わなければ、私はこれからも「頑張りが足りない」と自分を責めながら、空回りする努力を続けていたと思います。本書を率いる川島隆太氏は、脳機能イメージング研究のパイオニアであり、東北大学加齢医学研究所の所長を務める医学者です。脳を直接の研究対象として向き合ってきた専門家が、実際のデータをもとに警鐘を鳴らすからこそ、その指摘には重みがあります。自分も努力を空回りさせていないか――そう感じた方にこそ、ぜひ本書で確かめてみてください。

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スマホはどこまで脳を壊すか (朝日新書) 川島 隆太, 榊 浩平 / 朝日新書

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