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日本企業は何で食っていくのか 日経プレミアシリーズ

伊丹敬之

日本経済新聞出版社

2013年5月1日発売

楽天ブックスAmazon

新書嫁レビュー

「日本企業はもう終わり」ではなかった。6つの強みが見えていなかっただけ

2026-05-23

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日本の製造業は衰退の一途をたどっているという前提で見ていた

リーマンショック後から続く「日本企業の凋落」という言説を、何年もかけて信じ込んでいました。スマートフォンではAppleとSamsung、検索ではGoogle、SNSではアメリカのプラットフォーム企業が圧倒的な存在感を持つ中で、日本企業には革新がなく、世界で戦える産業がなくなっていくのだという諦めに近い感覚が染みついていたのです。その見方を持ったまま経済ニュースを読むと、悲報ばかりが目につき、なぜ日本企業は勝てないのかという問いだけが頭に残ります。伊丹敬之著『日本企業は何で食っていくのか』を読んで、その問いの立て方自体が間違っていたと気づかされました。

伊丹敬之著『日本企業は何で食っていくのか』はこちらから読めます。

日本が強い領域は、ひと目では見えにくい場所にあった

本書が示すのは、日本企業の競争力は「消費者向けの目立つ製品」ではなく、それを可能にする「複雑性産業」と「インフラ産業」に集中しているという見立てです。複雑性産業とは、高度な部品・素材・製造装置のように、多数の技術要素が複雑に絡み合い、簡単には模倣できない産業のことです。スマートフォンの画面に使われる素材、自動車の精密部品、産業用機械の核心部品——これらは世界市場において日本企業が今も圧倒的な存在感を持っている領域です。

著者はさらに「電力生産性」という視点も提示します。高い電力コストを持つ日本が生き残るには、電力あたりの付加価値が高い産業に特化するしかない。その論理から見えてくる産業構造の方向性が、本書では化学産業の可能性とともに詳しく論じられています。「ピザ型グローバリゼーション」という概念も登場し、日本企業が世界市場にどう食い込んでいくべきかの構造的な方向が示されています。本書にはさらに、日本の「内なる病」として指摘される組織的課題についても踏み込んだ分析があります。ぜひ本書で確かめてみてください。

「負けているストーリー」ではなく「勝てる構造」が見えてきた

この本を読む前、ニュースで日本企業の業績悪化や海外企業との競争敗北の話を見るたびに、「やはり終わっていく」という暗い結論に向かっていました。でも今は違います。液晶パネルの製造装置、半導体の製造プロセスで不可欠な材料、工作機械の精密部品——これらのニュースを見るとき、「日本が強いところがここにある」という文脈でとらえられるようになりました。同じ経済ニュースを読んでいても、以前は漠然とした不安しか感じなかったのが、今は「構造」として見える。その違いは大きいです。

著者が「第三の敗戦」という言葉で表現する日本企業の危機は、敗れたことへの嘆きではなく、そこから再生するための構造的な処方箋を提示するための布石として使われています。組織の硬直性、意思決定の遅さ、優秀な人材の流出といった「内なる病」を直視しながらも、複雑性産業という日本固有の強みを活かす方向性を示す本書の論調は、悲観でも楽観でもない、精緻な実証の上に立っています。40年以上にわたって日本企業の実態を研究し続けた伊丹敬之だからこそ導ける結論が、この一冊には詰まっています。日本経済の未来を、感情ではなく構造として考えたいすべての人に届く内容です。

日本経営学の第一人者が、衰退論を超えた分析を示した

一橋大学名誉教授として日本企業の実証研究を40年以上続け、カーネギーメロン大学経営大学院博士、紫綬褒章・文化功労者として経営学分野で最高の評価を受けた伊丹敬之は、日本企業論において最も信頼できる論者の一人です。「第三の敗戦」という言葉で日本企業の危機を正直に描きながらも、処方箋を具体的な産業構造から導き出す本書は、単なる悲観論でも楽観論でもない、骨太な分析です。

伊丹敬之著『日本企業は何で食っていくのか』はこちらから読めます。

内容紹介

政権交代を契機に環境が好転換しつつある日本経済。だが油断してはならない。新たな成長源は、依然として明確ではないのだ!電力生産性、ピザ型グローバリゼーション、複雑性産業など、第一級の経営学者が、日本企業が挑むべき6つの突破口を明示する。

出版社による紹介文です(楽天ブックスの書誌情報より)。

書誌情報

書名
日本企業は何で食っていくのか 日経プレミアシリーズ
著者
伊丹敬之
出版社
日本経済新聞出版社
発売日
2013年5月1日
ISBN
453226202X