微分・積分は「理系の人だけが使う難しい数学」だと思っていた
高校時代に微分・積分を習ったとき、「なぜこれを学ぶのか」よりも「どうやって計算するか」ばかりに追われ、結局何をしているのかよくわからないまま終わりました。以来、微積分は「計算のルールを暗記するもの」であり、その意味や使い道を理解するものではない、という印象が定着していたのです。
数式を見るたびに「自分には関係ない世界だ」という感覚がつきまとい、「微積分がわかったら世界の見方が変わる」という言葉を聞いても、それが本当だと信じることができませんでした。数式なしには語れない世界を、自分が理解できる気がしなかったのです。
この本を開いて、初めてその「世界の変化」を実感しました。
「未来を予測する数学」だったという発見
本書が示す微積分の本質は、「変化を捉える数学」です。微分は「ある瞬間の変化の速さを知る」技術であり、積分は「変化の積み重ねを合計する」技術——この直感的な定義から出発し、数式ではなく図やイラストを使って概念が説明されていきます。
著者の冨島佑允は東京大学大学院理学系研究科で素粒子物理学を専攻し、現在は多摩大学大学院客員教授を務めるクオンツ・データサイエンティストです。専門家でありながら、「微積分を語るにあたって数式は必要ない」と断言し、その概念の本質を視覚的に伝えることに特化しています。本書にはさらに、現代社会のどんな場面に微積分が使われているか——AI・スマートフォン・天気予報——についても書かれています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「変化の速さ」という視点で、日常が少し違って見えた
この本を読んでから、「微分」という概念が日常の中で見えるようになりました。車が急ブレーキをかけるとき、株価が急落するとき、体温が急上昇するとき——それらはすべて「変化の速さ」の問題です。「今この瞬間の変化の速さ」に注目するという視点が、現実の様々な場面に応用できることを感じられるようになりました。
数式を一度も見ることなく「微積分とはこういうものか」と腑に落ちる体験は、高校時代に得られなかったものです。難しいとばかり思っていた概念が視覚的に理解できたとき、「理解できなかったのは自分の能力ではなく、教え方の問題だったのかもしれない」という気持ちが生まれました。微積分を「理解した」とき、現代社会の技術——スマートフォンのAI機能、天気予報、衛星の軌道計算——がすべて微積分に支えられていることが実感として腑に落ちます。その瞬間、技術の見え方が変わります。
素粒子物理学者が「数式なし」で語る微積分の本質
京都大学理学部、東京大学大学院理学系研究科で素粒子物理学を学び、現在は多摩大学大学院客員教授として活動する冨島佑允が、数学の専門家として「誰でも理解できる微積分」を書いた一冊です。難解な数学を平易に伝える力は、専門の深さがあるからこそ生まれます。数式を一本も書かずに微積分の本質を語りきれるのは、著者がその全体像を深く把握しているからです。本書はその意味で、単なる「やさしい数学入門書」を超えた、教養の一冊です。
言葉や数学への向き合い方が変わることは、思考の幅が広がることでもあります。この本を読まなければ、微積分を「難しくて自分には無縁な数学」として一生避け続けていたと思います。
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