「論理的に考えること」と「論理的に伝えること」は同じだと思っていた
頭の中で論理的に考えられれば、それをそのまま話したり書いたりできるはずだ——そう思っていました。だから「自分は論理的に考えているつもりなのに、なぜか相手に伝わらない」という経験を繰り返していても、「伝え方」を別個のスキルとして捉えて学ぼうとはしていなかったのです。
でも実際には、考えることと伝えることは別のスキルです。頭の中で整理した論理を、相手が理解できる構造に組み直して出力するプロセスには、固有の技術があります。それを知らないまま「論理的なはずなのに伝わらない」という状況を繰り返していたのだと、この本を読んで初めて気づきました。
この本が、論理的に「伝える」ことへの見方を変えてくれました。
「MECE」と「So What/Why So」が思考を整理する
本書は、グロービス経営大学院が体系化したロジカル・シンキングの手法を、岡重文がビジネスの現場で実践できる形で解説した一冊です。PHPビジネス新書として、概念の説明と具体的な使い方のバランスが良く取れています。
本書が中心に据えるのは、「MECE(ミーシー)」と「So What/Why So」という二つの概念です。MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、「モレなく、ダブりなく」整理するという原則です。情報や選択肢を整理するとき、この原則がないと論理の穴が生まれます。
「So What/Why So」とは、「それで結局何が言いたいのか(So What)」「なぜそう言えるのか(Why So)」という問いを繰り返すことで、論理のつながりを確かめる方法です。会議でのプレゼン、上司への報告、メールの文面——あらゆる「伝える」場面でこの問いを意識するだけで、相手に伝わりやすさが大きく変わります。本書にはさらに、ロジカル・シンキングをビジネスの具体的な場面で使いこなすための練習問題も含まれています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「伝わらない」の正体が見えた
この本を読んでから、会議での発言やメールの構成を意識して組み立てるようになりました。「で、結局何が言いたいのか」という問いを自分に向けてから話し始めると、伝わり方が明らかに変わった実感があります。
「論理的であること」は思考の問題だと思っていましたが、「論理的に伝えること」は構造の問題だということが実感できると、コミュニケーションへの向き合い方が変わります。「わかってもらえない」ストレスが、「伝え方を変えれば解決できる」という問題に変わっていきます。
グロービスが体系化した「論理的に伝えるための技術」
ビジネス教育の分野で長年実績を積んできたグロービスが、ロジカル・シンキングの理論と実践を体系化した一冊です。概念の理解だけでなく、即日から使える実践的なフレームワークを提供してくれます。
この本を読まなければ、「論理的に考えているつもり」の状態のまま、伝える技術を身につける機会を逃し続けていたと思います。考えることと伝えることを別のスキルとして捉えた瞬間から、コミュニケーションの問題の見え方が変わります。ビジネスの現場で悩む多くの人に、一度読んでみてほしい実用的な一冊です。