猫島は観光スポットとして知れ渡るようになった「かわいい場所」だと思っていた
宮城県・田代島や愛媛県・青島のような「猫島」は、SNSで注目を集めるインスタ映えスポットであり、猫好きが訪れる観光地——という認識でいました。かわいらしい猫たちがいる島、写真を撮りに行く場所というイメージが強く、その背後にある複雑な現実や問いを考えたことはほとんどなかったのです。
でもこの本を読んで、猫島が単なる観光スポットを超えた、人と動物の共存の在り方・島と地域社会の持続可能性・野良猫問題という複雑な現実を抱えた場所であるということがわかりました。「かわいい」の裏にある現実を知ることで、猫島の見方が根本から変わりました。
この本が、猫島と人と動物の共存への見方を変えてくれました。
猫島が抱える「かわいいだけじゃない」現実
本書は、フリーライターとして日本各地の猫島を実際に訪れ、取材してきた瀬戸内みなみが、各地の猫島の現状とそこで暮らす人・猫の姿を記録したイースト新書の一冊です。SNSで語られる「かわいい猫島」の裏にある現実を丁寧に伝えています。
著者が各島を訪れて気づくのは、猫島それぞれが異なる歴史的背景と現在の問題を抱えているという事実です。漁業の島で鼠除けとして船に乗り込んでいた猫がルーツの島、戦後の復興期に増えた猫が世代を経て繁殖した島——その背景は一様ではありません。
また、島の高齢化・人口減少が進む中で、増えすぎた猫の世話をする人が減り、不妊・去勢手術の費用を誰が負担するかという問いも現実として存在します。観光客が猫島に来ることによる経済効果と、猫への無秩序な餌やりが引き起こす問題のバランスをどう保つか——島で暮らす人たちは、観光客には見えない部分でこういった問いに向き合っています。猫をかわいいと思って訪れる観光客が、意図せず島の猫の健康や生態系に悪影響を与えてしまうというアイロニーも、著者の取材から見えてきます。「愛する」ことが必ずしも「守ること」にならないという現実が、猫島を通じて語られます。本書にはさらに、各猫島の保護活動の現状と、持続可能な共存のために何が必要かについても詳しく語られています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「かわいい」の向こうに「問い」が見えるようになった
この本を読んでから、猫島のような場所を訪れたときに「この場所を持続させているのは誰の努力か」という問いを意識するようになりました。
魅力的な場所の裏には、見えない努力と複雑な現実があります。「かわいい」という感情を超えて、その向こうにある問いを見ることが、本当の意味でその場所を理解することにつながります。SNSで拡散される「かわいい猫島の写真」が切り取る瞬間の裏に、現実の重みがある——その事実を知ることで、旅の見え方そのものが変わります。
フリーライターが記録した「猫島の光と影」
日本各地の猫島を実際に取材してきたフリーライター瀬戸内みなみが、各地の猫島の現状とそこで生きる人と猫の姿を記録した一冊です。観光情報としての猫島ではなく、現実の問いを抱えた猫島の姿が伝わってきます。
この本を読まなければ、猫島を「かわいい観光スポット」として見るだけで、その場所が人と動物の共存についての複雑な問いを抱えているという現実を知らずにいたと思います。