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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

日本書紀は「嘘をついていた」——古代史の正史が隠したものとは

日本書紀は「日本最古の歴史書」として信頼できると思っていた

日本書紀は720年に完成した日本最古の正史であり、天皇の系譜・神話・古代の出来事が記された権威ある文書——そういう認識がありました。歴史の教科書でも「日本書紀によれば〜」という形で引用されるため、それが「信頼できる史料」として扱われているという印象が強かったのです。

でもこの本を読んで、日本書紀が「特定の政治的意図に基づいて事実を改変・虚構した記述を含む文書」であることが明らかにされました。「正史」は「権力者が書かせた歴史」であり、書かれていることが全て史実ではないという視点が、この本で鮮明になります。

この本が、古代史と「歴史書」への見方を変えてくれました。

「なぜ嘘をついたのか」を読むと、当時の政治が見えてくる

本書は、古代日本史・文献史学を専門とする研究者が、日本書紀の記述を詳しく検討し、虚構・改変・誇張の具体的な事例とその政治的背景を明らかにした歴史新書の一冊です。

著者が示すのは、日本書紀が天武天皇・持統天皇による律令国家建設の過程で編纂された文書であり、天皇制の正統性・朝鮮半島との関係・国内の有力氏族との権力関係を正当化するための記述が随所に盛り込まれているという事実です。

例えば、神功皇后の「三韓征伐」の記述は、史実との整合性が指摘されており、実際にはそのような出来事の証拠がないとされています。また、天皇の在位年数や歴代天皇の寿命が不自然に長い(百歳を超えることも珍しくない)のは、朝鮮半島の王朝と比較して日本の歴史の長さを示そうとする意図があったと解釈されています。さらに、蘇我氏・物部氏・大伴氏など有力豪族の描かれ方が、それぞれの政治的な立場に応じて美化・悪化されている形跡が見受けられます。「正史」が特定の権力の視点から書かれたものである以上、そこには語られていない「別の歴史」が必ず存在するということです。本書にはさらに、古事記との比較、朝鮮半島の史料との対照から見えてくる古代史の実像についても詳しく論じられています。ぜひ本書で確かめてみてください。

「書かれていること」ではなく「なぜそう書いたのか」を問うようになった

この本を読んでから、歴史書の記述を「何が書かれているか」だけでなく「なぜそう書かれたのか」という問いから読むようになりました。日本書紀だけでなく、どの時代のどの文化圏においても、「権力者が書かせた歴史」は存在します。その歴史書が誰の意図のもとに書かれ、何を隠し、何を強調したかを問うことが、批判的な歴史読解の基本です。

歴史書は「過去の記録」であると同時に「書いた人の意図が刻まれた文書」です。その意図を読むことが、歴史の実像への接近につながります。

古代日本史研究者が解明する「正史という虚構」

古代日本史・文献史学を専門とする研究者が、日本書紀の記述を詳しく検討し、虚構・改変の実態とその政治的背景を明らかにした歴史新書の一冊です。「正史」への批判的な読み方が確実に身につきます。

この本を読まなければ、日本書紀を日本の古代史の信頼できる記録として受け取ったまま、そこに刻まれた政治的な意図と改変・虚構の数々を知らずにいたと思います。古代史への見方とその批判的な読み方が、この一冊で確実に大きく変わります。

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日本書紀の虚構と史実 (歴史新書y) 遠山 美都男 / 歴史新書y

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