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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

ブランドはロゴのことだと思っていた人へ、それは経営そのものだった

ブランドとは、ロゴやデザインのことだと思っていた

ブランドという言葉を聞くと、洗練されたロゴや広告、高級感のあるパッケージが頭に浮かびます。見栄えを整えて好印象を与える、いわば化粧のようなものだと思っていました。ところが、新商品の名前ひとつ決めるのにも妙に難航したり、会社の看板と個々の製品の関係がうまく整理できなかったり、現場では何か根本的なところが噛み合わない感覚がつきまといます。簗瀬允紀さんの『コーポレートブランドと製品ブランド』は、その違和感の正体を解き明かしてくれました。

ブランディングは「経営そのもの」だった

本書が示すのは、ブランドが宣伝部だけの仕事ではなく、経営の中枢にある営みだという視点です。鍵になるのは、会社全体を背負う「コーポレートブランド」と、個々の商品を担う「製品ブランド」をどう関係づけるか、という構造の問題です。会社の名前を前面に出して信頼を一点に集めるのか、それとも製品ごとに独立した個性を立てて、別々の顧客層に届けるのか。その選び方ひとつで、顧客が抱く信頼の積み上がり方も、企業価値の蓄積のされ方も大きく変わってきます。たとえば、ある会社が新商品を出すたびに社名を冠すれば、成功も失敗も会社全体の評判に直結する。逆に製品ブランドを独立させれば、冒険的な挑戦が本体の信頼を傷つけにくくなる。著者は、欧米流のブランドマーケティングの考え方を土台に、この二つの層をどう設計すべきかを体系立てて論じます。本書では、ブランドを目に見えない資産として捉え、長期的に企業価値へ結びつけていく考え方が、より踏み込んだ形で展開されています。見た目を整えるだけの問題だと思っていたブランドが、経営判断そのものとして立ち上がってきます。

仕事で見る景色が一段深くなった

読む前の私は、ブランドの話を、表面的な「イメージ戦略」として聞き流していました。商品さえ良ければ売れる、見栄えやネーミングはその次、という理解だったのです。だから新商品の名前を決める会議も、なんとなく語感の良し悪しで選んでいました。読んだ後は、店頭で商品を手に取るとき、その背後にある会社全体の戦略まで想像できるようになりました。同じメーカーが、ある製品には堂々と社名を冠し、別の製品にはあえて社名を隠して独立した名前をつけている。その使い分けに込められた意図が読めるようになると、普段の買い物すら一種の観察になります。自分の仕事でも、目先の見せ方をどうするかではなく、長い目で何を積み上げたいのかから考える癖がつきました。

知らないままなら、ブランドを上っ面で捉え続けていた

この本に出会わなければ、私はこれからもブランドを、ロゴやデザインの見栄えの問題へと矮小化していたはずです。著者の簗瀬允紀さんは、味の素ゼネラルフーヅやデュポンといった企業でマーケティングの要職を歴任し、欧米流のブランド戦略に造詣の深い実務家であり、大学院で教鞭も執ってきた書き手です。机上の理論だけでなく、実際に市場で製品を育ててきた現場の手応えの両方を知る人だからこそ語れる、地に足のついたブランド論がここにあります。流行りの言葉に流されず、ブランドを本気で考えたい人にとって、確かな出発点になる一冊です。

この本を手に入れる

コーポレートブランドと製品ブランド―経営学としてのブランディング (創成社新書 19) 簗瀬 允紀 / 創成社新書

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