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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

認知症は『発症前』に引き返せる——軽度認知障害(MCI)という最後のチャンス

「認知症は発症したらもう手遅れで、進行を遅らせることはできても根本的には治せない病気だ」とずっと思っていた

認知症といえば、家族や近所で発症した人を見るたびに「気の毒だが、もう元には戻れない」という諦めとセットで受け取ってきました。「予防が大事」と言われても、それは「いつか自分や家族に来るかもしれない不安」と「具体的に何をすればいいか分からない」の間で、漠然としたままでした。「物忘れが増えた」「同じ話を繰り返す」——身近な人にそういう変化を見ても、「認知症の初期かもしれない」と思いつつ、明確な対処の手立てを持っていませんでした。

でも、認知症と健康な状態の間に「軽度認知障害(MCI)」という段階があり、そこで適切な対処をすれば認知機能が回復しうるという話を断片的に聞くたび、「ではその段階をどう見分け、何をすればいいか」を体系的に知る必要を感じていました。

浦上克哉著『もしかして認知症?——軽度認知障害ならまだ引き返せる』を読んで、その体系的な答えが見えてきました。

軽度認知障害(MCI)は認知症の前段階で、ここで対処すれば認知機能の回復が可能だが、2025年には1000万人を超える可能性がある

著者が本書で示す核心は、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」が、①認知機能の低下は見られるが日常生活に大きな支障はない、②認知機能の回復が可能な最後の段階——という特徴を持ち、ここで適切な対処をすれば認知症の発症を大幅に遅らせたり、健康な状態に戻したりできるという事実です。2025年には日本でMCIの該当者が1000万人を超える可能性があると著者は警鐘を鳴らします。

特に印象的なのは、MCIを見つけるための具体的なチェックポイントと、見つけた後の科学的に有効な予防法です。「物忘れが頻繁になった」「同じ話を何度もする」「以前できた家電操作ができなくなった」——こうしたサインを「年だから仕方ない」と片付けず、MCIの可能性を疑って医療機関を受診することの重要性が説かれます。MCIと診断された後の予防策——運動・食事・知的活動・社会的交流・睡眠——は単なる生活習慣ではなく、エビデンスに基づく医学的介入として位置づけられます。著者は鳥取大学医学部教授・日本認知症予防学会理事長として、最新の予防医学の知見を一般読者向けに整理します。本書にはさらに、認知症の種類別の特徴・家族としての関わり方・通院と検査の進め方が詳しく描かれています。ぜひ本書でその全貌を確かめてみてください。

「老化=認知機能低下は仕方ない」という諦めが崩れた

読む前と後で、認知症への向き合い方が変わりました。以前は認知症を「いつか来るかもしれない災難」として漠然と恐れ、具体的な行動は取らずにいました。でも今は、「MCIの段階で気づき対処する」という明確な目標を持って、自分と家族の認知機能の変化を観察するようになりました。

具体的には、両親の物忘れや言葉の変化を「年のせい」で済ませず、必要に応じて医療機関の物忘れ外来を勧めるようになりました。自分自身についても、運動習慣・食事・睡眠・社会的交流を「健康のため」ではなく「認知機能の予防のため」という明確な目的で見直すようになりました。「認知症は引き返せない病気」という諦めから、「MCIの段階で気づけば引き返せる」という能動的な視点への転換が、本書を通じて生まれました。

鳥取大学医学部教授・日本認知症予防学会理事長が、MCI予防の最前線を凝縮した

浦上克哉は鳥取大学医学部教授・日本認知症予防学会理事長として認知症予防研究を牽引してきた医学者です。臨床経験と最新の予防医学研究を結びつけてきた著者だからこそ、本書では「認知症は治せない」という諦めを覆し、「MCIの段階で対処すれば引き返せる」という具体的・実践的な指針が提示されています。

この本を読まなければ、認知症を「発症したら手遅れの病気」として遠ざけたまま、軽度認知障害という「まだ引き返せる」段階の存在と向き合う機会を持てないままでいたでしょう。

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もしかして認知症? 軽度認知障害ならまだ引き返せる (PHP新書) 浦上 克哉 / PHP新書

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