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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

経営とは社内をうまく回すこと——ドラッカーはその常識を外側から覆す

「経営とは、社内の人やお金をうまく管理すること」だと思っていた

経営やマネジメントという言葉を、私は長いあいだ「組織の内側を効率よく回すこと」だと捉えていました。部下を管理し、コストを切り詰め、数字を締めていく。社内をきちんと統制できる人が優れた経営者なのだと信じていたのです。けれど、コスト削減を頑張るほど現場が疲れ、なぜか業績は伸び悩む。その堂々巡りに、どこか釈然としないものを感じていました。その違和感を、望月護著『ドラッカーの実践経営哲学』が言葉にしてくれました。

経営の出発点は、社内ではなく「お客」の側にあった

この本がドラッカーの思想から引き出してくるのは、経営の中心は組織の内側ではなく、外にいる「お客」だという視点です。本書の章立ては「お客軽視が不況を招いた」「お客は満足していない」「お客本位へ」と、徹底して顧客の側から組み立てられています。顧客とは誰か、顧客でない人はなぜ顧客でないのか、メーカーが考える価値と顧客が認める価値は同じか。こうした問いを次々に投げかけながら、内向きの管理ばかりに目を奪われた経営がいかに足元を崩すかを浮き彫りにします。コストを削れば顧客が喜ぶのか、という一見当たり前の問いが、実は鋭く急所を突いてくるのです。利益とは社内の努力でひねり出すものではなく、あくまで顧客がもたらすもの。その順番を取り違えた瞬間に、経営は内向きの帳尻合わせへと迷い込んでしまう。読者からも、シンプルで当たり前に見えることなのに、それができずに市場から消えていく企業が後を絶たないのはなぜか、と考えさせられたという声が寄せられています。本書では日本企業の具体的な事例を交えながら、捨てる決断ややめる勇気といった、より踏み込んだ実践の話まで展開されます。難解とされるドラッカーへの入口として、ぜひ本書でその論理を確かめてみてください。

「自分は何を提供しているのか」を問うようになった

この視点に触れてから、日々の仕事に向かう私の姿勢が変わりました。以前は目の前の作業をいかに早く正確に片づけるかばかりを考え、その仕事が誰のどんな役に立っているのかは意識の外にありました。資料を一枚でも多く、会議を一つでも多くこなすことが、そのまま自分の働きの証だと思い込んでいたのです。今は何かに取りかかる前に、これは結局どの相手の、どんな困りごとに応えるものなのかを一度問うようになりました。すると、力を入れるべきところと、思い切って手放してよいところの輪郭がはっきりしてくるのです。たとえば、誰のためにもなっていなかった定例の作業を一つやめてみたら、空いた時間でかえって相手に喜ばれる仕事ができた、ということがありました。忙しさそのものを成果と取り違えていた自分に気づき、相手の側から仕事を眺め直すだけで、一日の使い方がまるで変わりました。

現場を歩いた書き手による、最良の入口

この本を読まなければ、私はこれからも内向きの管理を経営だと思い込んだままだったはずです。著者の望月護は慶應義塾大学経済学部を卒業後、大日本印刷をはじめ複数の企業で営業や管理の要職を歴任し、現場でビジネスを動かしてきた人物です。同期らと研究会を結成し、日本経済に即したドラッカー研究を重ねてきました。読者からも「もしドラ並みにわかりやすい」「ここからはじめるドラッカーという一冊」と評されています。難解そうだと敬遠してきた方こそ、ぜひこの一冊を手に取ってみてください。

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