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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

ポピュリズムは「最近の現象」ではなかった——百年単位で回帰してくる亡霊の話

ポピュリズムは、ここ十数年に突然現れた新しい病だと思っていた

排外的なリーダーが熱狂的に支持される。エリートや既存政党が敵視される。こうした「ポピュリズム」を、私はインターネットやSNSが生んだ、ごく最近の現象だと思い込んでいました。だからニュースで欧州の選挙結果を見るたびに、なぜ今こんなことが起きるのかが腑に落ちず、世界がどこかおかしな方向に転がっているような落ち着かなさを抱えていたのです。けれどこの本は、その「最近の現象」という前提そのものを覆してきました。

「民衆対エリート」という、形を変えて回帰する対立

本書が示すのは、ポピュリズムの核心にあるのが「民衆とエリートの対立」という古くからある構図であり、それが時代ごとに新しい衣をまとって回帰してくる、という見方です。著者は、現代のポピュリズムを押し上げている原動力を一つずつ腑分けしていきます。脱工業化による経済の不調、国外への開放がもたらす不安、代表民主主義への不満、移民の拒絶、そして「EUという怪物」への反発。さらに、多国籍企業に代表される「匿名の」権力の拡大や、新自由主義的なEUの発展といった、二十世紀後半からの社会構造の変化が背景に据えられています。グローバル化が生み出した、顔の見えない匿名の権力への敵意が、人々を「自分たちの声を代弁してくれる者」へと向かわせる——本書はその力学を、フランスをはじめとする欧州の具体的な政党政治に即して描いていきます。本書は現象の特質を測ることから始め、その原動力を腑分けし、最後にポピュリズムと民主主義の関係そのものへと議論を進めていきます。ではこの対立は民主主義を壊すのか、それとも問い直すのか。その先の議論は、ぜひ本書で確かめてみてください。

ニュースが「不可解な事件」から「読み解ける現象」に変わった

この本を読む前、私にとって欧州の選挙ニュースは、なぜそうなるのか分からない不可解な出来事の連続でした。極右政党の躍進と聞いても、ただ漠然とした不安を感じて、すぐにスマートフォンを閉じる。それだけでした。けれど「人々が何に不満を抱き、どんな不安が票を動かしているか」という見取り図を手にしてからは、同じニュースが「この人々は、顔の見えない権力に置き去りにされた感覚を訴えているのだ」と読み解ける現象に変わりました。先日も移民政策をめぐる選挙結果の報道を見て、以前なら聞き流していた支持者の声に、脱工業化で職を失った地域の不安が重なって聞こえてきたのです。海の向こうの騒ぎだと思っていたものが、自分たちの社会が抱える問題と地続きに見えてくる。世界の解像度が一段上がった実感があります。

知らないままなら、私はニュースに振り回されるだけだった

この本を読まなければ、私はこれからも欧州の政治ニュースを、不可解で不穏な出来事として漠然と消費し続けていたはずです。著者のパスカル・ペリノーはパリ政治学院(シアンスポ)の名誉教授で、フランスの右派政党研究の第一人者として知られます。ポピュリズムが最も早くから論じられてきたフランスで、長年この現象を間近で追い、研究を積み重ねてきた人物だからこそ、流行りの解説では届かない歴史の奥行きと、定義のあいまいさに流されない冷静さが感じられます。読者からも「研究の蓄積が反映されていて、わかりやすく説得力がある」という声が寄せられています。日本でポピュリズムという言葉を語るときの足場としても、確かな一冊です。

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ポピュリズムに揺れる欧州政党政治 (文庫クセジュ) パスカル・ペリノー, 中村 雅治 / 文庫クセジュ

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