ジェンダー問題は「意識の高い人が考えるテーマ」だと思っていた
ジェンダーや性差別といった問題は、専門的に活動している人や、直接影響を受けている当事者が声を上げるべきテーマであって、「普通の人」が日常で考えなくていい話——そんな思い込みを持っていました。自分は差別的なことを言ったり思ったりしていない、だからジェンダー問題は自分には関係ない、という感覚がどこかにあったのです。
しかしこの本を読んで、ジェンダーに関する問題の多くは「悪意のある差別者」ではなく、私たち全員が無意識に持っている思い込みや社会的な構造から生まれているという事実に向き合わせてくれました。
この本が、ジェンダーへの見方を変えてくれました。
無意識の偏見が、社会をどう形作るか
本書は、マサチューセッツ総合病院(MGH)小児精神科医・ハーバード大学医学部准教授として活躍する内田舞が、脳科学・心理学・社会学の知見を横断しながら、ジェンダーにまつわる無意識の偏見と社会構造の問題を解説した一冊です。幻冬舎新書として、専門的な内容をわかりやすく伝えています。
特に印象的なのは、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」の議論です。人は明示的な差別意識を持っていなくても、長年の社会的刷り込みによって、ある性別に対して特定の能力や役割を結びつける傾向を持っています。「女性はリーダーより補佐役が向いている」「男性は感情表現が苦手」といった思い込みは、本人が気づかないまま行動や判断に影響を与えているのです。
米国の精神医療の現場で活躍する著者の視点から語られる「性とメンタルヘルス」の関係も、本書の重要なテーマです。社会的プレッシャーや性役割の期待が、精神的な健康に与える影響についての分析は、ジェンダー問題を「社会の話」から「個人の問題」として実感させてくれます。本書にはさらに、社会システムレベルでの変革と、個人が日常でできることについても具体的に論じられています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「自分には関係ない」という思い込みが崩れた
この本を読んでから、日常のさりげないやりとりや、「当たり前」として受け取っていた場面を振り返るようになりました。「それは普通だと思っていた」ということの多くが、実は社会的な刷り込みだったのだという視点が生まれたのです。
ジェンダー問題に「無縁」な人はいないのだということが、自分の体験を通じて実感できたとき、この問題への関心の持ち方が変わりました。無意識の偏見を認識することは、自己否定ではなく、より公平で豊かな関係を築くための第一歩です。そう思えると、この問題がずっと身近で大切なものに感じられるようになります。
ハーバード准教授が伝える「無意識の偏見」の科学
ハーバード大学医学部准教授としてジェンダーとメンタルヘルスを専門とする内田舞が、最新の科学的知見をもとにジェンダーの問題を解説した一冊です。感情論ではなくエビデンスに基づく議論が、読者に確固たる視点を与えてくれます。
この本を読まなければ、ジェンダー問題を「自分には関係ない遠い話」として距離を置いたまま、社会の無意識の構造が自分の生活にも影響していることに気づかないままだったと思います。専門的な知識を持つ著者の言葉は、感情ではなく証拠に基づく説得力があり、読後に確かな視点が残ります。