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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

「鉄道はいつまでも走り続ける」——その思い込みをデータが崩す

鉄道は社会のインフラだから、なくなるはずがないと思っていた

駅は街にあって当たり前、電車は時間どおりに来て当たり前。鉄道は社会の基盤だから、赤字でもなんとか維持されていくものだと、私は漠然と信じていました。ローカル線の廃止のニュースを目にしても、どこか遠い話として受け流していたのです。けれど自分の使っている路線の利用者が年々減っているのを駅で感じるたびに、この当たり前はいつまで続くのだろうという小さな不安がよぎる。その不安を直視させてくれたのが、この本でした。

「未来は感情ではなくデータが決める」という冷静さ

本書が他の鉄道本と決定的に違うのは、鉄道ファンにありがちな「鉄道に肩入れする」視点を徹底して排している点です。著者はJR各社が公表する経営資料や国勢調査の数字、さらにはGoogle Earthまで使い、第三者の目で路線の現状を診断していきます。沿線にどれだけの人が住み、どれだけの人が乗っているのか。線路の周辺を上空から俯瞰すれば、感情論では覆い隠せない需要の実態が見えてくる。JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、四国・九州、そして整備新幹線や並行在来線、JR貨物まで——通勤通学需要の大幅な減少という共通の地殻変動を背景に、それぞれの会社が抱える課題が淡々と並べられます。本書では、首都圏など一部の地域を除けば基本的に鉄道の役割は終わりつつある、という冷徹な見立てが、感傷を交えずに突きつけられます。鉄道ファンであればあるほど、認めたくない現実かもしれません。それでも数字は静かに、けれど確かに未来図を描き出していきます。

路線図を見る目が、ノスタルジーから現実に変わった

この本を読む前、私にとって地方の路線図はどこかロマンの対象でした。乗ったことのない区間を眺めては、いつか旅してみたいと夢想する。廃線のニュースを聞けば、ただ寂しいと感じるだけでした。けれどデータに基づく分析を読んでから、同じ路線図がまったく違って見えるようになりました。この区間は人口分布から見て維持が難しいのではないか、この駅の周辺はどれだけ人が住んでいるのか——そんな現実的な目で地図を読むようになったのです。先日も時刻表をめくりながら、本数の少なさの裏にある経営の事情を考えてしまいました。窓の外を流れる田畑を見て、この路線はあと何年走れるのだろうと思いをめぐらせる。ノスタルジーだけでは語れない交通の現実が、自分ごととして迫ってきます。

知らないままなら、廃線のニュースに驚き続けていた

この本に出会わなければ、私はこれからもローカル線の廃止が報じられるたびに「まさか」と驚き、なぜこうなったのかを理解しないまま受け流していたはずです。著者の鐵坊主は鉄道アナリストとして活動し、日本の地域交通のあり方を鋭く分析する解説者として広く知られています。鉄道を愛しながらも、その愛ゆえに目を曇らせることなく、データを淡々と積み上げて結論を導く。その姿勢があるからこそ、希望的観測ではない、本当に向き合うべき未来図が描けるのです。鉄道がこの先どうあるべきかは、沿線に暮らす人だけの問題ではありません。地方の暮らしや人口の行方とも分かちがたく結びついた、私たち全員の問題です。自分の街の鉄道がどんな岐路に立っているのか、ぜひ本書で確かめてみてください。

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鉄道会社 データが警告する未来図 (KAWADE夢新書 S 440) 鐵坊主 / KAWADE夢新書 S

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