日本の地形は、だいたい把握していると思っていた
本州には北アルプスや南アルプス、関東平野、京阪神の都市部などがある——日本の地形についての知識はそれなりに持っているつもりでした。だから「フォッサマグナ」という言葉を教科書で習ったことは覚えていても、それが日本列島にとって何を意味するのか、どれほど巨大な地質構造なのかは全くといっていいほど理解していなかったのです。
フォッサマグナという名前は知っていても、それが「日本を東西に分断している地質的な断層」という表面的な知識の先を全く知らないまま、日本の大地の本当の姿を見えないままにしていました。
この本が、日本列島への見方を根本から変えてくれました。
日本列島が「二つの大陸の融合体」だったとは
本書は、神奈川県立生命の星・地球博物館の学芸員として地質学の研究と普及に長年携わってきた藤岡換太郎が、フォッサマグナという地質構造の正体を解き明かした一冊です。ブルーバックスの一冊として、最新の地球科学の知見をわかりやすく伝えています。
フォッサマグナとは、日本の本州を東北日本と西南日本に分けている巨大な地溝帯(陥没地帯)のことです。糸魚川・静岡構造線(いとしずせん)がその西端として知られていますが、東端は長い間はっきりしていませんでした。この地溝帯に、後から堆積物が埋まって現在の地形になったため、肉眼では分かりにくいのです。
驚くべきことは、東北日本と西南日本は元々別々の陸地(プレート)として存在しており、フォッサマグナとはその「縫い目」にあたる場所だということです。つまり日本列島は、二つの地塊が合体してできた大陸の「つぎはぎ」なのです。この事実を知ると、日本各地の地震、火山、温泉の分布が全く別の意味を持って見えてきます。本書にはさらに、フォッサマグナが日本の気候・生態系・文化の東西差にも影響を与えてきた可能性についても論じられています。ぜひ本書で確かめてみてください。
足元の大地に、壮大な時間の物語が見えた
この本を読んでから、日本各地を旅するときの見え方が変わりました。新幹線で静岡を通過するとき、長野の山々を見るとき——そこに地球の長い歴史が刻まれていることを意識するようになったのです。
「日本列島は一体のもの」という漠然とした感覚が、「二つの大陸が出会った場所」という具体的なイメージに変わると、日本の自然のあらゆる現象が意味を持って見えてきます。地学は暗記の科目ではなく、物語だったのです。足元の大地が、これほど壮大な時間の積み重ねの上に成り立っていることを知ると、日常の風景への見え方が変わります。
地質学の専門家が語る「日本列島誕生の謎」
神奈川県立生命の星・地球博物館で地球科学の普及に携わってきた藤岡換太郎が、フォッサマグナという謎に満ちた地質構造の正体を最新の知見で解き明かした一冊です。難解になりがちな地質学を、日本人にとって身近な「日本列島の物語」として伝えてくれます。ブルーバックスらしい科学への愛情と、読者への誠実な説明が全編を貫いています。
この本を読まなければ、フォッサマグナを「教科書で習った地名」として片づけたまま、日本列島の本当の姿を見えないままにしていたと思います。