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新書嫁レビュー ・ 約 2 分

学校の勉強は「知力を育てること」だと思い込んでいた

学校で学ぶことは「頭をよくするため」だと思っていた

ずっと学校の授業というのは、知識を蓄えながら思考力を育てる場であり、そこで学んだことが将来の知的な基盤になるものだと思っていました。「勉強したほうがいい」という感覚の背後には、「学力をつけることが知力につながる」という素朴な前提がありました。しかしその前提では、「学校の成績はよいのに創造的な仕事ができない」という現象や、「勉強はできなかったが社会で活躍している」という事例が、どこかしっくりきませんでした。

その謎に答えてくれたのが、波多野誼余夫・稲垣佳世子著『知力と学力』でした。

「知力」と「学力」は根本的に異なるものだった

本書の核心は、「知力」と「学力」を明確に区別することにあります。学力とは、学校教育で教えられた知識・技能を習得した度合いを測るものです。しかし知力——問いを立て、仮説を作り、検証し、新たな意味を見出す能力——は、単に知識を蓄えることでは育ちません。むしろ「既存の知識を使って問題を解く」という学力優先の教育が、知力の発達を阻害する可能性があると著者たちは指摘します。

認知心理学の研究成果をもとに、「学校で何を学ぶか」という問いを正面から問い直した本書は、1984年の出版ながら今も教育の本質を問う議論の基礎となっています。本書にはさらに、子どもの動機づけと学習の関係についての詳細な分析も展開されており、ぜひ本書で確かめてみてください。

「できた・できない」の見方が変わった

この本を読んでから、「勉強ができる・できない」の評価の向こうに、「何を学ぶ動機を持っているか」という問いを見るようになりました。以前はテストの点数や成績を「その人の知的能力の反映」として受け取っていましたが、今は「学力が測っているのは何か」「知力とどう関係しているか」という問いが自然に浮かびます。子どもの学習を見るとき、「正解できたか」よりも「どう考えたか」に関心が向くようになりました。

認知心理学が教育の常識を問い直す

波多野誼余夫は慶應義塾大学で認知心理学を専攻し、子どもの知的発達と教育の関係を研究し続けた心理学者です。稲垣佳世子も長年教育心理学の研究に携わりました。「学校の勉強が知力を育てる」という思い込みを持ったまま教育を語っていたら、学力と知力の間に横たわる本質的な問いは、今も見えなかったと思います。

この本を手に入れる

知力と学力: 学校で何を学ぶか (岩波新書 黄版 284) 波多野 誼余夫, 稲垣 佳世子 / 岩波新書 黄版

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