「大人の助言は人生の知恵で、それに従って生きるのが安全で正しい選択だ」とずっと思っていた
十代の頃、親や先生から繰り返し聞いた言葉——「みんなと同じようにしなさい」「親の言うことを聞きなさい」「いい学校に入って安定した職に就きなさい」——を、「大人の言うことだから正しい」「逆らうのは未熟」と無条件に受け入れていました。違和感や息苦しさを感じても、「自分が間違っているのだろう」と内側に問題を引き取ってしまう癖がついていました。
でも、大人が言う「普通の人生」を生きている人が必ずしも幸せそうではない、むしろ自分の道を切り開いた人たちのほうが生き生きしている——という現実は、若い頃から薄々感じていました。「みんなと同じ」が正解とは限らないという感覚を持ちながら、それを言葉にして自分の判断基準にする方法を持っていませんでした。
鳥羽和久著『君は君の人生の主役になれ』を読んで、その方法の手がかりが見えてきました。
学校・親・社会の「同調圧力」を見抜き、自分独自の生き方を切り開くことが、人生の主役になる出発点だ
著者が本書で示す核心は、十代が日々感じる息苦しさの多くが、学校の同調圧力・親の期待・社会の「普通」という、無自覚に押しつけられる規範から来ており、それを見抜いて自分独自の生き方を切り開くことが、自分の人生の「主役」になる第一歩だという視点です。著者は文学修士・精神分析を専門とし、福岡で塾と単位制高校を運営してきた立場から、十代150名余りと日々関わってきた経験を踏まえて語ります。
特に印象的なのは、「人生を阻害する親という存在から逃走する」という章のタイトルです。親を否定するのではなく、しかし親の期待をそのまま自分の人生の指針にしてしまう危険を著者は警告します。親は子どもを愛していても、その愛が「自分が考える幸せの形」を子どもに押し付ける形で表現されてしまうことがある。親の言葉と自分の感覚がズレているとき、それは「自分が悪い」のではなく「親の願いと自分の人生は別物」だと認識することが必要——というメッセージは、若い読者だけでなく、大人になってからも親の期待に縛られている読者の心を解きほぐします。学校・恋愛・お金・勉強——十代が直面するそれぞれの場面で、「大人の普通」を疑い、自分の答えを探す姿勢が具体的に示されます。本書にはさらに、勉強の意味・恋愛の悩み・お金との付き合い方が詳しく描かれています。ぜひ本書でその全貌を確かめてみてください。
「大人の言うこと」を批判的に聞く姿勢を、若い頃に持てなかった自分への助言になった
読む前と後で、若い世代と関わる姿勢が変わりました。以前は子どもや若い人たちに対して、つい「大人としての助言」を提示しがちでした。でも今は、「自分の助言が押しつけになっていないか」「相手が自分の判断で選べる余地を残しているか」を意識するようになりました。
具体的には、家族や職場の若い人たちと進路や生き方の話をするとき、「こうしたほうがいい」と方向を示すのではなく、「あなたはどう感じている?」「何が大切?」を先に聞くようにしました。同時に、自分自身が大人になってからも親や社会の「普通」に縛られている部分があることを自覚し、その縛りを解く作業として本書を読み直すこともできます。「主役になる」というメッセージは、十代だけのものではなく、大人の自分にも届く問いかけです。
福岡で塾と高校を運営する文学修士・精神分析を専門とする教育者が、十代と150名と向き合った経験から書いた
鳥羽和久(1976年福岡生まれ)は文学修士・専門は日本文学と精神分析という背景を持ち、株式会社寺子屋ネット福岡代表取締役・唐人町寺子屋塾長・単位制高校「航空高校唐人町」校長として、小中高生150名余りの学習指導に長年携わってきた教育者です。実際の十代との対話から生まれた言葉だからこそ、本書では理念ではなく具体性のあるメッセージが届きます。
この本を読まなければ、大人の「普通」を疑わず受け入れたまま、自分の人生の主役になるという視点と向き合う機会を持てないままでいたでしょう。
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