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新書嫁レビュー ・ 約 2 分

リハビリは「失った機能を取り戻す訓練」だと思い込んでいた

リハビリとは「元通りに戻すこと」だと思っていた

ずっとリハビリテーションとは、病気や事故で失った身体機能を、訓練によって回復させることだと思っていました。脳卒中の後遺症を持つ人が歩けるようになる、交通事故で手を負傷した人が再び動かせるようになる——そういった「元通りへの回復」がリハビリの目的だと、疑いもしませんでした。しかしその考えでは、完全には回復できない障害を持って生きている人たちの「リハビリ」とは何を目指すものなのかが、どこかしっくりきませんでした。

その問いに明確な答えをくれたのが、砂原茂一著『リハビリテーション』でした。

病気は「火事」、障害は「焼け跡」——固定した状態と向き合う思想

本書で著者・砂原茂一は、病気と障害を「火事と焼け跡」に喩えます。火事(病気)は消えても、焼け跡(障害)は残る。そして焼け跡は「固定した状態」である——この認識から、リハビリテーションの本質が見えてきます。もし障害が「元通りには戻れない固定した状態」であるなら、リハビリの目標は「元通り」ではあり得ません。ならばリハビリとは何か——著者は「障害者の人権回復を求める思想と技術の体系」だと断言します。

本書は医学的リハビリテーションに絞りながら、その技術と思想の両面を、歴史的背景とともに描きます。脳卒中の事例から具体的に展開される議論は明快で、リハビリという営みが「機能訓練」に留まらず、「その人がどう生きるか」という問いと不可分であることが伝わってきます。本書にはさらに、看護とリハビリテーションの関係、洋の東西でリハビリがどう異なるかについても論じられており、ぜひ本書で確かめてみてください。

「回復」ではなく「生き直し」という視点

この本を読んでから、障害を持って生きる人たちを見る目が変わりました。以前は「元に戻れたか」という基準で無意識に見ていた自分に気づきました。しかし「焼け跡の中でどう生きるか」という問いに向き合う姿として見たとき、リハビリという営みが、人間の尊厳と深く結びついた実践だということが腑に落ちました。日常の中で「できないこと」よりも「どう生きるか」を優先する視点が、少しずつ身についていきました。

リハビリを「人権の問題」として捉え直した先駆者

砂原茂一は日本のリハビリテーション医学の先駆者であり、身体機能の回復だけでなく、障害者が社会の中で尊厳をもって生きることを目標としたリハビリの思想を日本に根付かせることに尽力した医師です。「リハビリは元通りに戻すこと」という思い込みを持ったまま生きていたら、障害とともに生きる人たちが本当に何を求めているかは、今も見えていなかったと思います。

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リハビリテ-ション (岩波新書 黄版 139) 砂原 茂一 / 岩波新書 黄版

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