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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

時間は誰にとっても同じ速さで流れる、と思っていた。アインシュタインが数式なしで崩す「常識」

時間は、誰にとっても同じ速さで流れると思っていた

「時間は平等だ」とずっと信じていました。どこにいても、何をしていても、時計の針は同じ速さで進む。それは物理法則でも常識でもなく、もっと根本的な「宇宙の真実」だと疑わずにいました。アインシュタインが「相対性理論」を提唱したと知っていても、それが自分の時間感覚を根本から否定するものだとは思っていませんでした。時間が「曲がる」「遅れる」という話は、SF小説の設定か、専門家だけが扱う難解な数式の世界のことだと思っていたのです。

時間の流れは観測する人によって異なる、と数式なしで証明された

本書の下巻は、光の速度から出発します。真空中の光速は、どんな速さで動いている観測者から見ても、常に同じ値(秒速約30万km)です。これは実験で確かめられた事実です。しかしこの1点から、驚くべき結論が出てきます——もし光速が一定なら、時間の流れは観測者によって違わなければならない。高速で動いている人の時計は、静止している人の時計より遅れて進むのです。

アインシュタインとインフェルトはこの結論を、数式を一切使わずに思考実験だけで導いています。2つの稲妻が同時に落ちたかどうかは、観測者が動いているかどうかで答えが変わる——という鮮やかな説明で、「同時性」という当然の概念が観測者に依存することを示します。さらに本書は一般相対性理論へ進み、重力は空間の歪みであるという話へと展開します。量子論では、電子の位置と速度を同時に正確に知ることは原理的に不可能だという「不確定性原理」にも触れます。その詳細は、ぜひ本書で確かめてみてください。

「常識」が崩れた後、世界の見え方が変わった

この本を読み終えたとき、しばらく天井を眺めていました。今この部屋で感じている「時間」は、高速で飛ぶ宇宙船の中では異なる速さで流れている。物を落としたとき感じる「重力」は、空間そのものの歪みによって生じている。電子がどこにあるかは、観測するまで確率でしか言えない——こういった事実が、数式なしの日本語で自分の頭の中に入ってきた瞬間、世界の構造そのものへの見方が変わりました。

以前は「物理学の話は自分には関係ない」と思っていました。でも今は、スマートフォンのGPSが相対性理論の補正をしなければ正確に動かないということも、目の前の光が粒子でもあり波でもあるということも、自分の日常に直接つながっている話として感じられます。「常識が崩れる」というのは喪失ではなく、世界が広がることなのだと、この本を読んで初めて実感しました。

20世紀最大の知性が、専門家以外のために書いた

アルベルト・アインシュタインは1879年ドイツ生まれ。特殊相対性理論(1905年)、一般相対性理論(1915年)を提唱し、1921年のノーベル物理学賞を受賞しました。共著者のレオポルト・インフェルトはワルシャワ大学教授として量子論・電磁気学の研究を続けた理論物理学者です。本書は1938年にプリンストン高等研究所で共同執筆され、「専門的予備知識を持たない読者のために書いた」という著者の言葉が序文に添えられています。

この本を読まなければ、相対性理論を「自分には関係のない難解な話」として一生やり過ごしていたはずです。20世紀が書き換えた物理学の常識は、数式を知らなくても体験できます。それを可能にしたのが、アインシュタイン本人が一般読者のために書いたこの一冊でした。

アインシュタイン・インフェルト著(石原純訳)『物理学はいかに創られたか(下)』、購入はこちらから。

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