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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

ストライキは過去の遺物だと思っていたら、世界では今、進化していた

ストライキは昭和の労働運動の名残だと思っていた

ストライキという言葉に、私はどこか古びた印象を抱いていました。一九七〇年代をピークに減っていった、過去の労働運動の名残のようなもので、もう現代には関係のない話だと思い込んでいたのです。けれど、その認識のまま暮らしていると、ニュースで海外の大規模なストや、長時間労働で追い詰められる人たちの話に触れるたびに、どこか割り切れない気持ちが残りました。働くことの理不尽に対して、自分には何の手立てもないのではないか。その無力感の正体が分からないまま、私はずっと過ごしていました。今野晴貴さんの『ストライキ2.0』を読んで、その思い込みが根底から崩れました。

かつてとは違う「新しいスト」が、世界中で広がっている

本書が突きつけてくるのは、いったん減ったストライキが近年ふたたび盛り上がりを見せ、しかもその中身がまるで変わっているという事実です。かつての企業労組が主導したストとは違い、今のストには世間の側も好意的なまなざしを向けている。本書が紹介する象徴的な例が、教師たちのストライキです。彼らは自分の給料を上げろと訴えるのではなく、貧困家庭への公的支出を増やせと声を上げる。自分の待遇改善ではなく「社会問題の解決」を掲げる、これが「新しいスト」の姿だと著者は説きます。台湾、アメリカ、韓国といった世界各地の事例も取り上げられ、ストライキが社会を動かす武器として再び息を吹き返している様子が描かれます。印象的なのは、本書がストライキを単なる「賃上げの手段」としてではなく、社会のあり方そのものを問い直す行為として捉え直している点です。東京駅の自販機をめぐる争議のような身近な事例から、その「原理」を解きほぐしていく構成も、難しい理屈を肌で理解させてくれます。働く一人ひとりが、自分の置かれた状況をどう変えられるのか。資本主義経済の変化と、これから先のストの未来については、本書でさらに踏み込んだ議論が展開されます。ぜひ本書で確かめてみてください。

「働く理不尽」への見方が、受け身から変わる

この本を読んでから、働くことをめぐるニュースの受け止め方が変わりました。以前は、過酷な労働環境の話を見ても、気の毒だと思うだけで、どこかで仕方のないことだと諦めていました。けれど今は、声を上げることには具体的な方法があり、それが実際に社会を動かしてきた歴史があるのだと知っています。職場で不当な扱いの話を耳にするとき、誰かが立ち上がったニュースを目にするとき、これまで他人事として通り過ぎていた光景が、自分にもつながる現実として見えるようになりました。受け身で諦めるのではなく、仕組みを知って向き合う。その姿勢を持てたことが、大きな変化でした。

知らないままでいたら、ずっと諦めていた

もしこの本に出会わなければ、私は働くことの理不尽を、ただ我慢するしかないものとして受け入れ続けていたはずです。著者の今野晴貴さんは、NPO法人POSSEの代表として若者の労働相談に取り組み、著書『ブラック企業』で大佛次郎論壇賞を受賞した労働社会学の専門家です。膨大な労働相談の現場を踏まえた当事者だからこそ書ける、地に足のついた説得力がこの本には宿っています。自分も同じ無力感を抱えたまま働いているかもしれない。そう感じた方にこそ、この一冊は静かに効いてきます。

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ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器 (集英社新書) 今野晴貴 / 集英社新書

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