本の読み方は「自分のやり方で十分」だと思っていた
本を読む方法は人それぞれであって、自分なりの読み方で積み重ねてきた読書経験が正しい——そう思っていました。速読・多読・精読など読書法の本はたくさんありますが、それよりも「量を読むこと」「気になった本を選ぶこと」だけを意識していて、読書の「深め方」を体系的に考えたことはありませんでした。
しかし池上彰というジャーナリストが「どんな本をどう読んできたか」を語るとき、そこにはただの読書法を超えた「知性を育てる方法」としての読書の哲学があることがわかりました。
この本が、読書への向き合い方を根本から変えてくれました。
「知る」ための読書から「考える」ための読書へ
本書は、ジャーナリスト・池上彰が、これまでの読書人生を振り返りながら「自分はどのように本を読んできたか」を語った一冊です。SB新書として、読書習慣を深めたいビジネスパーソンや学生に向けた内容となっています。
池上が語るのは、「何を読むか」だけでなく「どう読むか」の問題です。一冊の本から学ぶだけでなく、異なる本を組み合わせて「問いを立てる」という姿勢、新聞・雑誌・書籍を横断して一つのテーマを多角的に見るという習慣——これらは「知識を得る」読書を「思考を鍛える」読書へと変えてくれます。
ジャーナリストとして30年以上活躍してきた池上は、NHKの解説委員時代から大学教授としての現在まで、膨大な量の本を読み続けてきました。その読書体験から生まれた「本の選び方」「読んだ内容の使い方」「古典を読む理由」などの議論は、読書の深め方を具体的にイメージさせてくれます。本書にはさらに、池上が特に影響を受けた本のリストと、その理由についても紹介されています。ぜひ本書で確かめてみてください。
「量を読む」から「深く読む」への転換
この本を読んでから、積読を減らして一冊を丁寧に読む意識が生まれました。読書の目的が「知識を仕入れること」から「問いを立て、思考を整えること」に変わると、本との向き合い方が全く違ってきます。
読んだ内容が自分の考えと絡み合い、別の本や出来事と結びついていく感覚——それが読書の本当の喜びだということが、池上の語りを通じてようやく実感できました。一冊読み終わるたびに「もう一冊読みたい」という気持ちが自然と生まれる読書の在り方に、いつかたどり着きたいと思います。知識が連鎖していく感覚は、読書を義務から喜びへと変えてくれます。
ジャーナリスト・池上彰が語る「知性を育てる読書論」
NHK解説委員から東京工業大学特命教授まで、ジャーナリストとして第一線を走り続けてきた池上彰が、読書への深い向き合い方を語った一冊です。実体験に裏打ちされた読書論は、読書好きにとって新鮮な発見を与えてくれます。「本を読む人」と「本から考える人」の違いが、この本を読んでようやく腑に落ちました。
この本を読まなければ、「量を読むこと」を読書の目標にしたまま、思考を鍛えるための読書という深い楽しみを見逃し続けていたと思います。池上彰というメディアの第一線で活躍し続けた人物の読書論には、知識を武器にするとはどういうことかが詰まっています。読書の「量」よりも「質」を大切にする姿勢を学ぶことで、本棚の意味が変わっていきます。