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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

なぜ大国は必ず衰える——3000年が映す、ひとつの法則

国の興亡は、運や偶然で決まるものだと思っていた

強い国がいつか衰え、別の国が台頭する。私はそれを、たまたま優れた指導者が現れたとか、運悪く戦争に負けたとか、その時々の偶然の積み重ねだと考えていました。歴史は結局、後から振り返ってもパターンの見えないバラバラの出来事の連なりなのだろう、と。けれどその見方には、どこか居心地の悪さもありました。今の世界がどこへ向かうのか、まるで手がかりのないまま漂っている感覚です。渡部昇一・本村凌二著『国家の盛衰 3000年の歴史に学ぶ』を読んで、そのもやもやの正体がはっきりしました。

「偶然の連続」に見えた興亡を貫く二つの条件

本書は、ローマ帝国からスペイン、オランダ、イギリス、アメリカ、中国、そして日本まで、覇権を握った国々がどう興り、何ゆえ衰えたのかを横断的にたどります。二人の論者が一貫して掲げるのが、国家の繁栄と覇権を支える「軍事力」と「経済力」という二つの柱です。たとえばローマがなぜ長く地中海世界に君臨できたのか、海運国家オランダがなぜイギリスに覇権を譲ったのか。一見ばらばらの事例が、この補助線を引くと急につながって見えてきます。本書ではさらに、それぞれの国が頂点で抱えた驕りや内部の緩み、衰退へと傾く転換点についても具体的に語られます。とりわけ印象に残るのは、繁栄の絶頂こそが衰退の始まりだという視点です。富や力が極まったとき、人々は緊張を解き、かつて自分たちを押し上げた価値観を少しずつ手放していく。その緩みが、外からの衝撃に対する抵抗力を静かに削いでいくのだといいます。一つの国の物語としてではなく、いくつもの大国の最期を並べて眺めるからこそ、そこに通底するリズムが浮かび上がってきます。3000年という長い時間軸が映し出す盛衰の輪郭は、ぜひ本書で確かめてみてください。

ニュースの見え方が、奥行きを持ちはじめた

この本を読んでから、毎日のニュースの見え方が変わりました。以前はどこかの国の経済指標や軍事の動きを、その日かぎりの単発の出来事として眺めていました。けれど今は、報じられる出来事の背後に、過去に何度も繰り返されてきた興亡のリズムが透けて見えます。ある大国の勢いや、別の国のほころびに触れたとき、「これはあの局面に似ているのかもしれない」と、長い時間の流れの中に置き直して考えられるようになりました。たとえば大国どうしの経済の駆け引きを伝える記事に触れたとき、これは過去のどの覇権交代に重なるのかと考える癖がつきました。漂っているような落ち着かなさが薄れ、自分が今どのあたりの時代に立っているのか、おぼろげながら座標が持てたのです。歴史を学ぶことが、過去を懐かしむためではなく、今を読むための道具になったと感じています。

偶然だと思い込んだままでは、もったいなかった

この本に出会わなければ、私は歴史を「偶然の寄せ集め」と片づけたまま、ニュースを表面でなぞるだけだったはずです。著者の一人、本村凌二氏はローマ史を専門とする東京大学名誉教授であり、もう一人の渡部昇一氏は長年にわたり評論と著述を重ねた英語学者です。専門も視点も異なる二人が語り合う形だからこそ、一つの史観に偏らない奥行きが生まれています。今の世界の行方をもう少し深く読み解きたい方に、長く効く一冊としておすすめします。

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国家の盛衰 3000年の歴史に学ぶ(祥伝社新書) (祥伝社新書 379) 渡部 昇一, 本村 凌二 / 祥伝社新書

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