← ブックフィード 新書嫁 PR

新書嫁レビュー ・ 約 3 分

締め切りを少し短くするだけで、仕事が片づく――その理由が法則になっていた

仕事や人間関係のうまくいかなさは、自分の性格や能力のせいだと思っていた

会議で意見が出ない。仕事がいつまでも終わらない。ほめても相手に響かない。こうした日々の小さなつまずきを、私はずっと自分の段取りの悪さや、相手との相性の問題だと思っていました。だから対処法も、もっと頑張る、もっと気をつける、という根性論に偏りがちだったのです。けれど、その捉え方を続けていると、同じ失敗を何度もくり返してしまう。原因が見えないまま反省だけが積み重なり、どこかしっくりこない徒労感が残るのです。清水克彦さんの『知って得する、すごい法則77』は、その「自分のせい」という思い込みに、別の角度から光を当ててくれました。

つまずきの裏に、名前のついた「法則」が隠れていた

本書には、職場、人間関係、自分を高める場面など、人生のさまざまな局面で働く法則が七十七も集められています。たとえばパーキンソンの法則。仕事の量は、与えられた時間をいっぱいに使うまで膨張していく、というものです。これを知ると、締め切りをあえて少し短く設定したほうが、かえってすんなり片づくのかもしれない、と発想が変わります。あるいは会議で意見が出ないとき、最初にわざと極端な案や間違いを投げてみると、他の人が口を開きやすくなる。読者からは、企画会議やチームの話し合いにすぐ使えそうだ、という声も寄せられていました。ほかにも、相手に七割を話させると関係がうまくいくという話や、選択肢が増えすぎるとかえって選べなくなるという話など、思い当たる場面の多い法則が並びます。一つひとつは小さな知恵ですが、自分のつまずきに名前がつくと、感情で抱え込んでいた問題が、対処できる対象へと姿を変えるのです。本書には、人間関係や子育ての場面で効く法則もまだ数多く紹介されています。続きはぜひ本書で確かめてみてください。

「自分が悪い」から「ここに法則が働いている」へ

この本を読んでから、つまずいたときの受け止め方が変わりました。以前なら、仕事が終わらないのは自分の能力不足だと落ち込むだけでした。けれど今は、これは時間を使い切るまで仕事が膨らむあの法則かもしれない、と一歩引いて眺められるようになったのです。会議で沈黙が続いても、自分の進行が下手なのだと責める前に、まず叩き台になる極端な案を一つ置いてみる。仕事が終わらない日も、自分を責めるのではなく、明日の作業にあえて短めの締め切りを置いてみようと手を動かせるようになりました。感情的に抱え込んでいた問題が、手を打てる対象へと変わっていく。日々の小さないらだちが、少しずつ軽やかになっていく感覚がありました。

知らなければ、自分を責め続けるだけで終わっていた

この本に出会わなければ、私は同じつまずきを自分のせいにし続け、ただ消耗していたでしょう。著者の清水克彦さんは政治・教育ジャーナリストで、文化放送で報道番組のチーフプロデューサーなどを歴任し、現在はびわこ成蹊スポーツ大学の教授を務めています。学生時代の専攻は心理学。報道の現場と教育の両方を歩んできた書き手だからこそ、机上の理屈ではなく、実際の人と組織で使える形で法則を選び抜けるのだと感じます。日々の小さなつまずきには、自分を責める以外の見方がきっとある。そう気づかせてくれる一冊です。

この本を手に入れる

知って得する、すごい法則77 (中公新書ラクレ 835) 清水 克彦 / 中公新書ラクレ

次の一冊 ── 同じ主題「心理」

ビジネスマンのための「リーダー力」養成講座 (小宮一慶の養成講座) (ディスカヴァー携書) 小宮 一慶 / ディスカヴァー・トゥエンティワン 書評を読む →

← ブックフィードに戻る

知って得する、すごい法則77 (中公新書ラクレ 835) Amazon 楽天