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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

「疲れた」のは体ではなかった——脳科学が暴いた疲労の正体

疲れているのは筋肉だと、ずっと思っていました

一日働いた夜、足が重く、肩がこわばる。私はその感覚を、長いあいだ「体が疲れている」のだと信じていました。だから週末は温泉に行き、休日には汗を流して運動し、それでリセットできるはずだと考えていました。それでも月曜の朝、なぜかすっきりしない。休んだはずなのに、どこか芯が重い。その正体のわからない違和感を、私はうまく言葉にできずにいました。梶本修身さんの『すべての疲労は脳が原因 2 超実践編』は、その違和感の出どころを、根底からひっくり返してくれました。

疲れの震源地は、足でも肩でもなかった

本書が示すのは、私たちが「肉体的な疲労」と呼んでいるものの多くが、実は脳のなかで起きているという視点です。デスクワークでも、緊張する会話でも、交感神経が優位になり、その状態で休まずに活動を続けると、自律神経の中枢が消耗していく。その中枢は、脳のなかにある。つまり足が疲れているのではなく、足を動かすよう指令を出し続けた脳の司令塔が疲れている、というのです。

本書のなかで印象に残ったのは、疲労回復に効くとされるイミダペプチドの話です。ある食品メーカーが「一万キロ以上も飛び続ける渡り鳥の体には、何か疲労回復の成分があるのではないか」と提案したことから研究が始まり、鶏の胸肉に多く含まれる成分にたどり着いたといいます。本書は食事だけでなく、睡眠や環境についても、すぐ試せる工夫を具体的に挙げていきます。たとえば寝るときに右側を下にして横になると、胃の入り口が上に、出口が下になって消化吸収が進みやすく、自律神経の負担が減るといった話は、その理由まで添えて説明されます。一方で、週末に運動してかえって疲れる、温泉でぐったりする——そんな勘違いの行動についても、本書ではより踏み込んで語られています。なぜ良かれと思った休み方が逆効果になるのか、その理屈は、ぜひ本書で確かめてみてください。

「ゆらぎ」という言葉で、休み方が変わりました

この本を読んでから、私の休日の過ごし方は静かに変わりました。以前は休み=体を動かすか、徹底的に寝るかの二択でした。けれど本書が語る「ゆらぎ」という考え方——人工的に管理された温度や光ではなく、風や木漏れ日のような自然な変化が自律神経を休ませる——を知ってから、デスクに小さな観葉植物を置き、窓を開けて外気を入れるようになりました。

以前は「疲れたら気合いで乗り切る」だったのが、今は「これは脳の司令塔が消耗しているサインだ」と捉え直せるようになりました。同じ疲れでも、原因がわかると対処が変わる。霧が晴れるように、自分の体の不調と付き合いやすくなったのです。

知らないままだったら、ずっと間違った休み方を続けていた

もし本書を読まなければ、私はこの先も「体を休めれば疲れは取れる」という思い込みのまま、効かない休養を繰り返していたはずです。著者の梶本修身さんは医学博士で、大阪市立大学大学院疲労医学講座の特任教授を務め、二〇〇三年からは産官学連携の抗疲労プロジェクトの統括責任者を担ってきた、疲労研究の第一人者です。だからこそ、巷の健康法とは違う角度から、疲れの正体を解き明かせるのだと思います。同じように「休んでも疲れが抜けない」と感じている方にこそ、その理由が腑に落ちる一冊です。

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すべての疲労は脳が原因 2 超実践編 (集英社新書) 梶本 修身 / 集英社新書

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