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新書嫁レビュー ・ 約 3 分

ニュートリノが「光速を超えるかもしれない」とき、物理学者が感じた震撼

素粒子物理学は専門家のための難解な学問だと思っていた

素粒子物理学——物質の最小単位の研究は、大型加速器・高度な数学・専門的な実験設備が必要な、専門家以外が近づきにくい学問だと思っていました。ヒッグス粒子・ニュートリノ・クォーク——これらの言葉は知っていても、それが何を意味するのかを実感として持てないまま、「すごいことをやっているらしい」という遠目の感覚しかなかったのです。

でもこの本を読んで、ニュートリノの研究の最前線が、宇宙の成り立ちへの根本的な問いと直接つながっていること、そしてその問いを追いかけることの知的な興奮が伝わってきました。専門的な詳細ではなく、問いの本質への理解が、素粒子物理学を全く違うものとして見せてくれます。

この本が、素粒子物理学と広大な宇宙への見方を根底から大きく変えてくれました。難解に見えた世界が、問いの本質から読むと鮮やかに開けてきます。

「幽霊粒子」が宇宙の謎を解く鍵になっていた

本書は、ニュートリノ物理学・宇宙物理学を専門とする研究者が、ニュートリノという素粒子の特徴と、それを使った宇宙の観測がどのような問いに答えようとしているかを解説したブルーバックスの一冊です。

ニュートリノは「幽霊粒子」と呼ばれるほど物質と相互作用しにくい素粒子で、地球を貫通して通り抜けることができます。この性質は観測を極めて困難にしますが、同時に太陽の内部・超新星爆発の中心・銀河核などの「普通の光では見えない場所」から届く情報を運んでくるという意味で、宇宙観測の新しい窓を開いています。

2011年、「ニュートリノが光速を超えた」という観測結果が発表されたとき(後に実験誤差と判明しましたが)、世界中の物理学者が震撼しました。相対性理論の根幹を揺るがすかもしれないという可能性への反応が、科学の世界にどれほどの緊張をもたらすかが実感できます。本書にはさらに、ニュートリノ振動の発見とノーベル賞、ニュートリノを使った宇宙の透視技術についても詳しく解説されています。ぜひ本書で確かめてみてください。

「知らないことがある宇宙」への好奇心が生まれた

この本を読んでから、宇宙に関するニュースを見るときに「これが確認されると何の謎が解けるのか」という問いを立てるようになりました。スーパーカミオカンデの実験・ニュートリノ望遠鏡の建設・暗黒物質の探索——これらが個別の「科学ニュース」ではなく、宇宙の成り立ちへの巨大な問いを追いかける営みの一部として見えるようになりました。

科学の最前線は「知っていること」ではなく「知らないこと」との境界線で動いています。その境界線の迫力を感じることが、科学への好奇心を育ててくれます。

ニュートリノ物理学者が語る「宇宙の透視技術」

ニュートリノ物理学・宇宙物理学を専門とする研究者が、ニュートリノという素粒子の特徴と宇宙観測における役割を解説したブルーバックスの一冊です。専門的な数式なしに、ニュートリノ研究の本質が伝わってきます。

この本を読まなければ、素粒子物理学を「自分には関係ない難しい学問」として遠ざけたまま、ニュートリノが宇宙の謎を解く鍵になっているという知的な興奮と驚きを知らずにいたと思います。

この本を手に入れる

ニュートリノ天体物理学入門―知られざる宇宙の姿を透視する (ブルーバックス) 小柴 昌俊 / 講談社

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