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新書嫁レビュー ・ 約 2 分

GHQは「民主主義を贈ってくれた存在」だと思い込んでいた

GHQは日本に民主主義をもたらした「恩人」だと思っていた

ずっとGHQというのは、敗戦後の日本に民主主義と平和憲法をもたらした存在として、どこか「贈り物をした側」として捉えていました。占領期に実施された様々な改革——農地解放、労働組合の公認、女性参政権——これらがGHQの指導によって実現されたことは知っていましたが、その政策がどのような意図と変遷のもとで進められたのかを、具体的に考えたことがありませんでした。しかしその見方では、なぜ占領期の後半から方針が大きく転換したのかが、どこかしっくりきませんでした。

その疑問への答えをくれたのが、竹前栄治著『GHQ』でした。

GHQは「民主化」から「反共の砦」へと変質した

本書で竹前栄治が描くのは、GHQの組織と政策が、占領の6年間にどのように変容していったかです。1945年の占領開始当初、マッカーサー率いるGHQは日本の非軍事化・民主化を積極的に推進しました。しかし1947年に冷戦が本格化すると、GHQの基本方針は急速に転換していきます。労働運動の制限、「赤狩り」(レッドパージ)の実施——民主化の旗手として現れたGHQが、今度は反共の政策を推し進める存在となったのです。

本書はGHQの組織・人事・各部署の権限関係まで詳細に描きながら、「民主化」という言葉の実態が何であったかを冷静に検証します。憲法とGHQの関係についても詳しく論じられており、ぜひ本書で確かめてみてください。

「戦後の出発点」の見え方が変わった

この本を読んでから、「民主主義は戦後に与えられた」という言説を聞くたびに、「誰が、何のために、どのタイミングで与えたのか」という問いが自然に浮かぶようになりました。以前は占領期を「日本の新たな出発点」として均質に見ていましたが、今は「どの時期のGHQか」によって意味が全く異なることがわかるようになりました。戦後の制度の多くが占領下で生まれたことへの理解が、立体的になりました。

占領史研究の第一人者が描く「戦後日本の原点」

竹前栄治は東京経済大学名誉教授として長年占領史研究を続け、日本の戦後を理解するための不可欠な一次資料を整理し続けた研究者です。「GHQは民主主義の贈り手」という単純なイメージを持ったまま生きていたら、戦後日本の制度がどのような政治的文脈から生まれたかは、今も見えなかったと思います。

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GHQ (岩波新書 黄版 232) 竹前 栄治 / 岩波新書 黄版

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